I:生まれてくる弟や妹に嫉妬するタイプの子どももいれば、小さい頃から下の子をものすごくかわいがる子もいるじゃないですか。ちなみにウチの3歳の娘は、8か月になる弟をものすごいかわいがるんです。嫉妬なんか全然しなくて、見ててちょっと危なっかしいくらい、ベタベタとお世話をしています(笑)。素朴な疑問なのですが嫉妬するタイプと、その真逆のタイプ、この差はどこから生まれてくるのでしょうか?
高橋先生:その子の性格にもよるでしょうし、ママとパパが上の子にそれまでどう接してきたかにもよるし、下の子との年齢差も関係してくると思います。ひとつ、仲のいい兄弟姉妹になってほしいのであれば、上の子に下の子のお世話をさせてあげるのは良いことですよ。危なっかしくてちょっと心配でも、ママと一緒に下の子の世話をしていれば、上の子はママとの一体感を実感できるし、下の子をかわいがることが何よりも楽しくなるでしょう。あと一緒にお世話をしている時にママ・パパが上の子に「あなたもこんなにちっちゃくて、こんなに可愛かったのよ」と言葉にして伝えるのもいいでね。
I:ちゃんとフォローをするというか、お兄ちゃんやお姉ちゃんにも愛情を注いでいることを、しっかり伝える必要があるということですね。
高橋先生:はい。兄弟姉妹というのは結局は仲良し同士です。すごく身近な存在であることが災いして、ちょっとした考え方の違いなどからいさかいが絶えない時期があったりもしますけれど、親の愛情に包まれて育っていけば、いずれはお互いを思いやり、助け合うようになります。
I:そうですね。僕にも離れて住んでいる兄弟姉妹がいるんですが、たまに会うと子どもの頃の思い出がたくさんよみがえるし、何となく気の置けない相棒という感じもします。これが小さい頃から一緒にすごしてきた絆なのかもしれません。子どもたちにもお互いを大切にできる関係になってもらえたらと思います。今回もいいお話をありがとうございました。
〈参考文献〉
※1 平成30年(2018)人口動態統計月報年数(概数)の概況(厚生労働省/平成31年6月)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/dl/kekka30-190626.pdf
※2 現代日本の結婚と出産―第15回出生動向基本調査報告書―(国立社会保障・人口問題研究所 2017年3月)
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_reportALL.pdf
<プロフィール>
高橋孝雄(たかはし・たかお)
慶應義塾大学医学部 小児科主任教授 医学博士 専門は小児科一般と小児神経 1982年慶應義塾大学医学部卒業後、米国ハーバード大学、マサチューセッツ総合病院小児神経科で治療にあたり、ハーバード大学医学部の神経学講師も務める。1994年帰国し、慶應義塾大学小児科で現在まで医師、教授として活躍する。趣味はランニング。マラソンのベスト記録は2016年の東京マラソンで3時間7分。別名“日本一足の速い小児科教授”。