I:親としては、上の子は下の子の存在に敏感になるってことをわかってないといけませんよね。
高橋先生:だからといってはれものに触るように接する必要はありませんよ。仮に下の子ができたことで、上の子が「赤ちゃん返り」するなら、させてあげればいい。「抱っこして欲しい」と言うなら、たくさん抱っこしてあげてください。要は上の子も下の子と同じように接してあげることが重要なんです。
I:同じように接する、ですか。
高橋先生:親ができることとしては、愛情を子どもの人数にあわせて「大きくする」ということかもしれません。ひとりっ子の時に子どもに与えていた愛を100とすると、二人目が生まれたら50ずつ平等に愛を分け与えるのではなく、100と100で愛を注ぐという気持ちで接してあげることだと思うんです。
I:現実的にはなかなか難しいとは思うのですが、そういう意識を持って接するということが大切ということですね。
高橋先生:そうです。そりゃ、愛情を100、200、300と増やしていく、というのは現実的ではありませんが、二人目、三人目と子どもを授かったのを良いチャンスとして、親としての愛情もより大きなものに膨らませていくことは可能だと思うんです。ママやパパは兄弟姉妹に優劣をつけない、順位付けをしないということが重要です。例えば今は下の子に手がかかるからと上の子の気持ちをないがしろにするとか、あるいは上の子がもうじき小学校のお受験で大切な時期だからと下の子の生活のペースまで変えてしまうのは、どちらかの子どもを優先するために、どちらかに犠牲を強いていることになりますよね。子どもたちはそういう変化にとても敏感です。他の何よりも「愛情の不公平感」に寂しさを感じるんでしょうね。
I:兄弟姉妹のために、なにかと我慢させるのはありがちな話ですが、可能な限りそういうことは止めた方がいいんですね。
高橋先生:そう思います。また「お兄ちゃんはあなたの年ではできていたよ」とか、「弟(妹)でもこれくらい言えるよ」など、ダイレクトに比較する言葉を投げかけるのは止めた方がいい。特に本人たちの前で一方的にネガティブな決めつけをすることは避けるべきです。
I:ですよね……ただ、これを読んでいるママやパパの中には「ハッ」とした方も多いかもしれません。親本人は比べるつもりは全然なくても、比べてしまっている可能性はあるのかなと。わが子を傷つけるつもりはないし、どちらかと言うと頑張って欲しくて言ってしまう言葉でも、子どもは比べられていると感じてしまうかもしれません。
高橋先生:そこは難しいところですよね。これは子育て論でも医学でもないですが、ママもパパも「子どもたちみんなに幸せになってほしい」と心から願っていればそれでいいのでは。仮にちょっとした言葉で傷つけてしまったとしても、幸せになってほしいという気持ちで愛情を持って接していれば、それは絶対に伝わっているはずですから。そういう気持ちがあれば、ただただお兄ちゃんばかりをひいきする、妹ばかりをかわいがる、なんてことにはならないだろうし、子どもだってそうは感じないと思うんですよ。