企業が取り組む妊娠・出産・育児を経験する従業員への支援
――明治安田生命保険相互会社
“人に一番やさしい生命保険会社”を目指して

ミキハウス編集部

これからはもっと「多様な働き方」ができる職場にしていきたい

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――御社は9割以上が女性社員で、産休・育休で長期休暇を取る方も少なくないと思います。職場で人手が足りなくなった時にはどう対応なさるのでしょうか。

村上さん:妊娠・出産や育休の場合は前もって大体の予定は分かっているので、契約社員や派遣社員の方も含め役割分担の見直し等計画的な見直しを行い、みんなで助け合うことになります。もちろん仕事に慣れた人がいなくなるわけですから大変ではありますが、みんな「お互いさま」の意識を持って、サポートしあえています。

――産休・育休を取る女性社員に対しては、復帰に際して何らかの支援を行っておられますか?

宇田川さん:育休から復帰したら、上司との復職後面談があります。今後の働き方の希望を所属の上司がきちんと把握し、上司や職場からも本人への期待などを伝えるために行っています。初めての経験に戸惑うことばかりの新米のワーキングマザーにとっては、安心して働き続けられると好評です。

――面談の結果はその後の働き方に反映されるんですね。

村上さん:面談の結果を集約して、要望が多い案件については制度の変更を行うこともあります。当社では、テレワークや時間単位の年休などはそういったママの声から導入されました。

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宇田川さん:その他にも、復職して1年未満の女性社員を対象にした復職後研修も行っています。ロールモデルとなる先輩職員を交えた座談会やランチ会という形式なのですが、ママ同士のネットワークづくりに役立っているようです。

――それなら育休後の職場復帰もスムーズですね。

村上さん:もともと女性が多い組織ですから、女性が活躍できる環境を作ることは当然のことと捉えています。いま私たちが取り組んでいるのは、ダイバーシティの問題。妊娠・出産、育児だけではなく、親の介護のために働き方を変えなければいけない人、様々な障がいを抱えた人やLGBTなど多様な従業員が、それぞれ多様な働き方ができる会社にしていきたいと考えています。

――女性だけでなく男性も、ママもパパも、あらゆる人が働きやすい環境を整える必要があると。

村上さん:ええ。若い人たちの働き方についての意識も、多様化しています。男性、女性に関わらず、キャリア優先でバリバリ働く人もいるし、自分の趣味やプライベートな時間を大切にしたい人もいる。働き方が多様化する理由は、もはや妊娠や育児だけではないんです。みんなの問題として多様な働き方に対応できる職場環境を作る必要があると思います。

――具体的にはどのような取り組みを行ってらっしゃいますか。

村上さん:まず年に1回、全部署から女性のリーダーと管理職を集めて行っている「ダイバーシティ・フォーラム」ですね。多様性を意識した職場づくりを進めるためにやっております。昨年度のテーマは「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」。他人を見る時に自分の固定観念の中で判断してしまうことってありがちですよね。そのあたりを変えていこうという狙いです。今年は安心して仕事ができる職場環境の中でこそ業務の改革や改善が可能になるという「心理的安全性(サイコロジカル・セーフティ)」について取り上げました。みんなが話しやすい職環環境を作ることがポイントで、ダイバーシティを進める上で欠かせない発想なんですね。

宇田川さん:ワーク・ライフ・バランスのさらなる推進に向けて、当社では「ワーク・ライフ・デザインプログラム」を導入しています。これは、男性育休や有給休暇の取得など、各所属のワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組状況を得点化し評価するもので、所属長の評価にも反映しています。このプログラムにより、実際に休暇も取得しやすくなったようで、従業員意識調査でも約9割が「ワーク・ライフ・バランス関連制度は利用しやすい」と回答しています。

村上さん:他にはイクボス育成プログラムもあります。これは「人財力」「健康増進」「余力創出」「多様性」の4つをキーワードに、これらの推進の担い手である職場の上司(イクボス)の意識改革と、各所属における自律展開を支援するプログラムです。このプログラムでは、社長を含む全役員、全管理職が「イクボス宣言・アクションプラン」を策定し実践しています。また、年1回部下から評価されるイクボス度調査が行われ、上位者は「イクボスアワード」を受賞します。一昨年度には女性管理職の受賞者が出ました。

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村上さん:当社は、お客さまに「確かな安心をいつまでも」提供するために、「人に一番やさしい生命保険会社」の実現をめざしています。これを実現するためにはお客さまや地域との絆を深めることはもちろん、当社の従業員同士が絆を深める必要があります。今、働くママのための環境整備として行っていることは、10年先、20年先には全ての従業員のための多様な働き方への試金石になると考えています。たとえば仕事と介護の両立は、これからの時代には誰にでも起こり得る問題。また、明日、突然の事故や病気で自身が働けなくなる可能性だってあるし、突然、職場から仲間がいなくなる……そんな時にどう乗り越えていけばいいのか。ワーキングマザーへの支援を学びとして、職場全体で考え、よりよい体制を作り上げていかなくてはいけない。ダイバーシティ推進室で働く我々は、これからもいろいろな施策を実施して、誰もが働きやすい職場環境を作っていきたいと考えています。

※           ※           ※

2019年6月5日に女性活躍推進法が改正(※2)され、従業員が101人以上の企業で女性社員の活躍に関する情報の公開が義務付けられるなど、女性登用に積極的に取り組む姿勢を評価する制度ができました。今後、女性の労働環境はもっとよくなっていくことでしょう。妊娠・出産を経て、子育てをしながらも仕事をがんばる女性がどんな時も自分らしく輝ける社会になるように、出産準備サイトはこれからもママたちを見守り、応援していきます。

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