企業が取り組む妊娠・出産・育児を経験する従業員への支援
――明治安田生命保険相互会社
“人に一番やさしい生命保険会社”を目指して

ミキハウス編集部

今年7月に総務省統計局が発表した労働力調査(※1)によると、2019年6月時点で働く女性は前年同月から53万人増加して3003万人となり、総就業者数の44.5%を占めています。

結婚、妊娠、出産、子育てなどの女性にとってのライフイベント。すべてを経験する人、もしくはその逆の方もいるでしょうが、現代では誰もが幸せに生きられる社会が理想とされています。すべての女性が、男性が、または性的マイノリティの方が、仕事もプライベートも充実した日々を送るためにはどんな職場環境が望ましいのでしょう。今回は明治安田生命保険相互会社 人事部ダイバーシティ推進室の村上治也さんと宇田川萌さんにお話を伺いました。

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【プロフィール】
村上 治也 (むらかみ・はるや)
明治安田生命保険相互会社 人事部ダイバーシティ推進室 主席スタッフ 福祉マネジメント修士(専門職)

宇田川 萌 (うだがわ・もえ)
明治安田生命保険相互会社 人事部ダイバーシティ推進室 職員研修グループ 主任スタッフ

 

男性社員の“自覚”を促す「育休取得」

――御社には、以前、村上さんが2014年に「丸の内イクメン部」を立ち上げた際に取材をさせていただきました。明治安田生命は、こうした草の根的な活動に積極的なだけでなく、女性社員の妊娠・出産、育児と仕事の両立への支援が充実していると聞いています。

村上さん:我々、生命保険業界は多くの女性が活躍しています。ですからあらゆる女性が働きやすい環境をつくることは非常に重要です。そのなかで、現在、当社では男性職員の育休取得を積極的に後押ししています。育休は、家庭でパパとしての役目を果たすのもひとつの目的ですが、育児の大変さを体験し「実感」することで、職場内でのワーキングマザーに対する見方も変わります。我々男性職員が育休を取得することで、働くママの実情を「知る」ことにつながります。それにより、彼女たちへの理解が深まり、働きやすい職場環境にも大きく貢献するものだと実感しています。

宇田川さん:2016年に社長が「男性育休の取得率100%を目指す」と宣言して、その時点で67.3%だった取得率は取得勧奨を強化した結果、昨年度には96.5%になっています。より利用しやすいよう制度改定も行われたので、今年度は100%を実現できそうです。また会社としては5日以上の取得を推奨していて、昨年は平均4.5日ですから、こちらももう少しのところまで来ています。

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――男性社員の育休取得率100%は達成目前なんですね。

村上さん:はい。育休は男性社員の育児参加のスタート地点だと思っています。事実、育休で子育てに“触れ”た男性社員は、その後も休日などに子どもとすごす時間が増えている……それこそ一日、子どもの面倒をみられるようになっているようです。

――それは興味深いですね。

村上さん:あと、子どもの面倒をみる男性社員が増えていると実感するエピソードを。弊社は2015年よりサッカーのJリーグとタイトルパートナー契約を結んでいて、週末に職場のみんなで試合観戦に行くことがよくあるのですが、その際パパ社員が子どもを連れてくることが非常に増えているんです。それこそ小さなお子さんを抱っこしてきて、職場の仲間と一緒に試合を観戦して、その後、バーベキューをしたりして1日すごす。奥さまがご一緒の場合もあるし、ママを「休ませる」ためにパパと子どもだけの場合もあります。いずれにせよ、パパ社員が1日子どもの面倒を見ることが当たり前のようになっているのは、肌感覚としてもすごくあります。

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――ここ数年で、パパ社員の意識が変わってきているのかもしれないですね。職場の雰囲気はどうですか?

村上さん:会社が音頭を取ったわけではないのに、オフィス単位、部署単位で自然発生的に家族のための職場見学会が行われたりしています。夏休みの間は特に社内のあちこちで子どもの姿を見かけました。部下や同僚の子どもの顔を知っていれば、その子が急に熱を出したと聞いたら心配になりますし、「早く帰ってあげて」となんのわだかまりもなく言える。今の職場は、そんないい雰囲気になってきたと思います。

宇田川さん:ちなみに10年前は当社でも女性社員が、妊娠を理由に退社することが珍しくありませんでした。男性の育休取得が進む中で見えてきたのは、ワーキングマザーのための職場環境の整備と、男性の育児参加・家事参加は深く関係している、ということだと思います。なお、女性の育休の取得者も増えていますが、これは妊娠で仕事を辞める女性が少なくなっているということだと思います。この会社なら子育てをしながら働き続けることができると女性社員が感じているのかもしれません。

次のページ これからはもっと「多様な働き方」ができる職場にしていきたい

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