屋内外の「温度差」にも注意を
妊婦が冬に気をつけるべきこと

2019.11.07

ミキハウス編集部

乾燥対策には保湿と糖質過多にならない食事

空気の乾燥も気になる季節ですが、妊娠中ならではの肌のトラブルはあるのでしょうか? まずは、吉村先生にお聞きしましょう。

「妊娠中の皮膚は乾燥に弱くて、乾燥しやすくなっていて、かゆみを増すんですね。だから、基本は保湿。また室内の加湿も大事です。これは妊娠中でなくても大切な対策ですね。もう一つの特徴は、妊婦さんはシミが出やすいということ。これは黄体ホルモンやエストロゲンなどのホルモンが大量に出ていることに原因があります。これらのホルモンが、メラサイトという色素の細胞を刺激するからなのです。だから、冬でも妊婦さんはある程度のUVケアが必要ですね」(吉村先生)

ホルモンの変化による肌内部の変化には注意が必要です。適度な日光浴は必要ですが、シミを出したくない顔部分などはしっかりUVケアしたほうがよさそうです。何事も適度に、が基本だということは変わらないですね。 食生活の側面から考えられる、肌の乾燥対策はあるのでしょうか? 細川さんが答えてくれました。

「肌の水分が蒸発する理由としては、血糖値との関係が考えられます。血糖値が上昇する糖尿病患者の初期症状は水分障害。喉が異常に渇く、口の中がねばねばする、汗を異常にかくなど、血糖値と水分には相関関係があります。また、健康な男女でも、血糖値が上がると肌の水分が失われていくという研究結果が報告されています」(細川さん)

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そのため、肌がカサカサしているなと思ったら、血糖値の上がりすぎる食生活をしていないかを見直すべきだといいます。

「冬で食べやすいからと、うどんばかり食べていないか、お菓子ばかり食べていないかを考えてみましょう。年末年始はイベントが多いですから、ケーキなどの糖質の多いものを食べる機会も増えます。また、お正月は白米もちのとりすぎにも注意したいですね」(細川さん)

細川さんたちの調査結果では、肌トラブルに悩んでいた人に足りなかった食材も明らかになっています。それは、海藻と(上質な)油。

「肌の80%はセラミドで守られていて、セラミドの原材料は必須脂肪酸。これは、体内でつくりだせない油なので『よい油』をしっかりとるということは、肌を潤わせるには大切なこと。ちなみに『よい油』がとれる食品は魚とナッツです。またファイトケミカルという活性酸素を抑制する働きの物質が含まれる緑黄色野菜と果物も積極的に摂取してください」(細川さん)

冬の妊婦さんの中にも、買い物に出かけることや食事を作ることが面倒になり、食生活がおろそかになっている人もいるかもしれません。乾燥対策をする意味でも、食生活の見直しは必要なのですね。


いかがでしたか。こうやって見てみると、冬の妊婦さんが気をつけたいことはさまざま。無理をせず、できることから始めて、寒い冬を乗り切り、かわいい赤ちゃんと出会う日まで準備をしていってくださいね。

吉村泰典(よしむら・やすのり)

1949年生まれ。産婦人科医、慶應義塾大学医学部教授。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。第2次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。

細川モモ(ほそかわ・もも)

予防医療コンサルタント。社団法人Luvtelli (ラブテリ)東京&NewYork代表理事。2009年の春にPublic Healthを活動目的とする「Luvtelli Tokyo&NewYork」を発足、女性と次世代の健康に関する数多くの活動・研究を展開する。14年に三菱地所株式会社 とともに働く女性の健康支援を目的とした「まるのうち保健室」をオープンし、日本初の働く女性の健康課題を明らかにした「働き女子1,000名白書」を発表するなど多方面で活躍中。

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