朝夕ぐっと冷え込むようになったら、赤ちゃんの鼻水や咳が気になりますね。冬はインフルエンザをはじめとする感染症のシーズンです。そこで小さな赤ちゃんを感染症から守り、家族みんなで元気に冬をすごすために知っておきたいことを、昭和大学医学部教授で小児科医の水野克己先生にお聞きし、まとめました。
「冬の3大感染症」の特徴について
乳幼児がかかりやすい冬の代表的な感染症と言えば、インフルエンザ、ロタウイルス感染性胃腸炎、RSウイルス感染症です。「冬の3大感染症」とも言われるこれらの感染症について、それぞれの特徴をまとめました。
インフルエンザ
インフルエンザウイルスによる呼吸器感染症。普通のかぜに比べて全身症状が強く出やすいのが特徴で、乳幼児は重症化するとまれに熱性けいれんや急性脳症、肺炎を起こすことがあります。
症状:38℃以上の発熱、頭痛、せき、のどの痛み、鼻水、だるさ、筋肉痛、関節痛など。
感染経路:感染している人のせきやくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込むことによる「飛まつ感染」と、ウイルスが付いた手で口や鼻を触ることによる「接触感染」。
潜伏期間:2~3日。症状が出る24時間前から感染性があるウイルスを出します。
ロタウイルス感染性胃腸炎
ロタウイルスに感染することで起こる急性の胃腸炎。2歳以下の乳幼児がかかりやすいので注意が必要です。ロタウイルスは感染力が強く、脱水症状がひどくなると点滴治療が必要になることもあります。なお、5歳までの急性胃腸炎の入院患者のうち、半数近くはロタウイルスが原因というデータ(※2)もあります。
症状:水のような下痢、吐き気、嘔吐(おうと)、発熱、腹痛など。
感染経路:主にウイルスを口から吸い込む「経口感染」による。患者の便に大量に含まれているウイルスが乾燥し、空気中に舞い上がって拡散すると言われています。
潜伏期間:1~3日。発症する数日前からウイルスを排出します。
RSウイルス感染症
RSウイルスを原因とする呼吸器の感染症。生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%が感染すると言われています。大人にとっては鼻かぜ程度の症状が多いのですが、乳児が感染すると重症化しやすいので、特に生後数か月は感染を避ける必要があります。
症状:38℃以上の発熱、頭痛、せき、のどの痛み、鼻水、だるさ、筋肉痛、関節痛など。
感染経路:ウイルスが付着したものを触った手で口や鼻を触ることによる「接触感染」が多いとされています。
潜伏期間:4~6日ぐらい。