赤ちゃんを守るために知っておきたい「冬の感染症対策」

2019.11.28

ミキハウス編集部

感染症の予防は、家族みんなで取り組みましょう

「赤ちゃんの感染症予防に一番大切なことは、一緒に暮らしている家族が感染症にかからないこと」と語るのは昭和大学医学部教授で小児科医の水野克己先生。たしかに家族の誰かが感染すると、リスクは一気に高まりますね。続いて、家族みんなの感染症の予防について、先生に詳しく教えていただきましょう。

ワクチンのある感染症は、迷わず予防接種を

インフルエンザ

「今年はすでに流行が始まっています(※1)。ワクチンの効果が出るまでに2週間ぐらいかかりますから、予防接種がまだなら、家族みんなで早めに受けた方がいいでしょう」(水野先生)

赤ちゃんは生後6か月になったら接種が可能で、乳幼児は2~4週間の間隔をあけて2回することになっています。任意接種で自己負担が必要ですが、かかってしまった場合の大変さを考えるとやはり家族全員が受ける方がよいでしょう。ただしインフルエンザの予防接種をしても絶対にかからないわけではありません。ただ、万が一かかった場合にも症状が軽くなるので、予防接種をするメリットは十分にあります。

なお妊娠期に予防接種をすると、生まれた赤ちゃんの感染を数か月間予防できる可能性があると言われています。プレママにとってもインフルエンザの予防接種はマスト事項ですね。厚生労働省では、プレママが予防接種を受ける際にはかかりつけの産婦人科の先生か国と受託契約をした受託医療機関で、母子手帳を提示することを勧めています(※3)。

 

ロタウイルス感染性胃腸炎

ロタウイルスのワクチン接種は乳児の定期接種として行われていて、生後6~24週の間に4
週間あけて2回接種することになっています。1歳までに保育園などの施設に預ける時や保育園・幼稚園に通っている兄、姉がいるなら、生後2か月には接種を始めましょう。

ワクチン接種は約8割の子どもの感染を予防し、万が一発症しても重症化するケースは1割にも満たないという調査結果もあります(※4)。

RSウイルス感染症

現在RSウイルスにはワクチンがありませんので、他の予防策を徹底することが必要です。

手洗い、うがい、マスクを徹底しましょう

水野先生は感染症を予防するために「手洗い、うがい、マスクの着用」は非常に効果的と教えてくださいます。

「よく言われていることですが、外から帰ってきたら手洗いとうがいをして、人混みに行く時にはマスクを着用する。これが感染予防の基本です。家族が感染したら家庭内でもマスクをして飛沫感染や接触感染を防いでください」(水野先生)

papa

特に人の多いファミリーレストランやショピングセンター、電車、病院など人の集まる場所にはウイルスを持った人がいると考えた方がいいでしょう。家庭内でも外出先から帰った時に触りがちな手すりやドアノブなどにウイルスがついてしまうことがあります。ママ・パパのスマホや財布、バッグなど外出先で繰り返し使うものも要注意です。赤ちゃんが触ったり、なめたりしないように置き場所にも気を付けましょう。

手洗いは石鹸を使って手のひらから手首までを30秒ぐらいかけてしっかり洗い、流水でていねいに流しましょう。アルコール消毒はインフルエンザやRSウイルスには有効ですが、ノロウイルスには効果がありませんから、3つの感染症を予防するには手洗いをしっかりすることが大切です。

hand-wash

インフルエンザとRSウイルスの感染対策に有効なビタミン

インフルエンザとRSウイルスの感染予防にはビタミンDも有効であることが、千葉県の小学生を対象に行われた調査で証明されています。ビタミンDは日光に当たることで体内に作られます。夏なら15分、紫外線の弱い冬は1時間弱ぐらい、日焼け止めクリームを塗らずに屋外で両手の肘から下を日に当てるのが目安です」(水野先生)

もちろん鮭や干しシイタケと言ったビタミンDを多く含む食品を摂ったり、サプリを飲んでも効果はありますが、陽光をしっかり浴びるということを習慣にしましょう。。日光浴についてはプレママの時から習慣化することが推奨されていますが、それはRSウイルス対策にもなるそう。

「生まれた時にへその緒の臍帯血(さいたいけつ)のビタミンD濃度が高かった子は、生後1年以内にRSウイルスに感染する確率が低いということが分かっています。赤ちゃんの骨の形成にも大きな役割を果たすビタミンDですが、感染症対策にも役立ちますから、妊娠中からビタミンDの摂取を心がけていただきたいです」(水野先生)

ビタミンDについては、「日差しは『上手につきあう』が吉!? 紫外線を正しく知りましょう(後編)」に詳しくまとめていますから、参考にしてください。

ロタウイルス感染性胃腸炎を家族にうつさないために

家族の誰かがロタウイルスに感染したら、家庭内で感染を広げないために、吐物や便などの始末には細心の注意を払う必要があります。

吐物、便の処理をする時はマスクと手袋を着用する。
ケアや吐物、便の処理をした後は、しっかりと手洗いをする。
・トイレ、衣類、家具、カーペットなどウイルスが付着している可能性があるものは250~50倍程度に薄めた塩素系漂白剤で消毒する。

病人の世話をする時にはウイルスが衣類に付着しないように体の前面を覆うビニールのエプロンをつけ、手袋やマスクは使い捨てのものを使います。汚物は密封できるビニール袋に入れて処分しましょう。塩素系漂白剤を使う時には十分な換気が必要です。消毒用のアルコールはロタウイルスには効果がないことは覚えておきましょう。

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