街角で、レストランで、小さな子どもたちがスマホをのぞきこんでいる光景は珍しいものではなくなりました。ママ・パパからすれば、スマホさえ見せていれば「おとなしくしてくれる」ということで、ついつい与えてしまいがち。たしかにスマホの中には子どもたちの興味を引く動画コンテンツやゲームがいっぱいです。ただし、夢中になってじっとスマホ画面を見つめる小さな瞳の奥では、どんなことが起きているのでしょう。今回は子どもの目の発達とスマホが与える影響について、小児眼科を専門とする平和眼科院長の富田香先生に伺いました。
(※本記事はミキハウス出産準備サイトで2019年7月11日に配信した記事を再編集したものです)
生まれてから小学校に上がるまでは、目の発達に最も大事な時期です
子育ての必須アイテムになりつつあるスマホ。大人にせよ、子どもにせよ、スマホの利用頻度が高くなると目が疲れるのは言うまでもありません。ただ、視力が発達していない乳幼児にとっては、「目の疲れ」以外にも注意すべきことがあるようです。
眼科として多くの子どもの目を診てきた富田香先生はこう語ります。
「まずママやパパに是非覚えていただきたいのは、生まれてから小学校に上がる前までの乳幼児期が子どもの目の発達にとってとても大事な時期ということ。この時期に、強い『遠視』や『乱視』、『近視』があったり、目の位置がずれていたりする『斜視』になっていると、視力の発達が起こらず、『弱視』となってしまいます」(富田先生)
生まれた時には未完成な状態だった視覚の神経系はモノを見て刺激を受けることで発達します。なお生まれたての赤ちゃんの視力は明るい暗いがわかる程度ですが、毎日の見る活動を通じて2歳で視力0.5前後に発達し5歳で8割の子どもが視力1.0に達していきます。先生が指摘されたように、この時期は目の発達にとってともて“大切な期間”なのです。
一方、子どもの目が正常に発達しているかどうかを判断する難しさもあるそう。
「片目の視力がよい時や、3歳で0.2ぐらいの視力があると、子どもの視力が悪いことに周囲の大人が気づくことは難しいです。なので、3歳児眼科健診で片目ずつ視力を測定して、両眼ともに視力が順調に育っていることを確かめてほしいと思います。その時期ならたとえ『弱視』が見つかっても、ほとんどの場合、治すことができますからね」(富田先生)