東日本大震災から10年。
あの日生まれた赤ちゃんと家族の今

2021.03.04

ミキハウス編集部

3.11に産まれたわが子について思うこと

3.11に産まれたわが子について思うこと

小さい頃から病院でひまりの保険証を出すと「震災の日に生まれたの?」と聞かれることがありました。1年生の頃、学校から帰ってきたひまりから「私は震災の日に生まれたの?」と真剣な顔でたずねられたこともあります。学校の生活科の授業で震災について習ったということでした。

私たち自身も海沿いに住んでいた親戚を津波で亡くしたので、お墓参りは毎年欠かさず行くし、命の大切さを子どもたちに伝えていかなければならないと考えてはいますが、ひまりの誕生日は誕生日として祝ってやりたいという気持ちもあります。

ひまりは震災の日に生まれたということについて「なんとも思っていないよ」と言います。確かに偶然の出来事なのですが、親としてはこれからいろいろな経験をしていく中で、どれくらい大変なことだったのかを理解してもらいたいし、やさしさや感謝を忘れない人間に育ってほしいと考えています。

今は岩手県でもコロナ禍で外出自粛が続いています。休みの日に家族で出かけることもなくなり、家の中でタブレットやゲームで遊ぶ子どもたちが気になりますが、「今は仕方がない。いつかできるようになったら子どもたちをあちこちに連れて行ってやろう」とできるだけ前向きに接することを心がけています。

子育てって、一人目の時は親が不慣れで不安だらけ。でも私自身の経験で言えることは、一人目より二人目、二人目より三人目と経験を積むにつれて余裕がでてくるということ。最初はできなくて当たり前なんです。赤ちゃんと一緒に成長するつもりでのんびり構えると気持ちも楽になるし、助けてくれる人がいれば、ためらわずに頼ってみたら子育てを楽しめるようになるかもしれませんよ。

私たちは今、夫婦と4人の子ども、それに主人の祖母(子どもたちの曾祖母)を加えた7人で暮らしています。私も仕事を続けており、毎日が本当に慌ただしく、にぎやかにすぎていきます。

「将来はイラストレーターになりたい」と言うひまり。子どもたちには勉強が苦手でもいいから、何かひとつ好きなことを見つけて打ち込める人になってほしいというのが私と主人の願いです。東日本大震災を経験し、あの日から始まった子育ての日々の中で、私と主人が学んだのは、この当たり前の幸せな日々を大切に暮らすことではないかと考えています。

3月11日、災害の中で生まれたひまりちゃん。すっかりお姉さんらしくなりました。

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