【専門医監修】妊娠期の症状・すごし方【妊娠初期編】

産婦人科医 / 吉村泰典先生

妊娠初期にするべきこと、気をつけるべきこと

妊娠初期のプレママのからだの変化についてまとめてきましたが、最後にやるべきこと、気をつけるべきことについてまとめていきます。

 

【母子健康手帳をもらい、妊婦健診を受けましょう】

【母子健康手帳をもらい、妊婦健診を受けましょう】

住民票のある市区町村に妊娠届を提出すると母子健康手帳が交付されます。母子健康手帳は、プレママの妊娠や出産の経緯、生まれてくる子どもの小学校入学前までの健康状態や予防接種などの記録を残しておくものです。

妊婦健診は妊娠初期には4週間ごとに受けることになっています。プレママとおなかの赤ちゃんの健康状態を確認し、妊娠中に起きる疾病を早期発見するための大切な健康診断ですから、決められた日にかかりつけの産科で受診しましょう。

【流産・切迫流産について理解しておきましょう】

【流産・切迫流産について理解しておきましょう】

流産とは妊娠22週より前に妊娠が終わること(※1)。受精卵の40~70%は発育過程で失われるという報告があります。その多くは母親が妊娠を自覚する前に消失するため、臨床的に流産として認識されるのは、全妊娠の10~15%程度で、うち8割が妊娠12週未満です。昨今、早期の流産が増えているとされていますが、妊娠検査薬が一般的になり、以前は月経と間違われていた妊娠初期の流産が分かるようになったことも原因のひとつと考えられます。

ほとんどの流産は受精が完全な形で行われなかったことによる染色体異常が原因ですから、誰にでも起こりえる出来事と言えます。残念なことではあるけれど、受精のチャンスはまた巡ってくると受け止めましょう。

万が一流産が疑われる腹痛や出血などがあったら、すぐに医療機関を受診してください。ちなみに切迫流産とは流産の一歩手前の状態を指します。

【日常生活を見直しましょう】

【日常生活を見直しましょう】

喫煙は早産や流産につながります(※2)。飲酒(※3)も少量でも胎児に影響を及ぼす可能性がありますから、妊娠中は止めた方が良さそうです。コーヒーやチョコレートなど刺激物の摂りすぎにも気をつけて。薬も成分によってはプレママのからだやおなかの赤ちゃんに影響するものがありますから、服用する時はかかりつけ医に相談しましょう。

【感染症予防も忘れずに】

【感染症予防も忘れずに】

母子感染によって、おなかの赤ちゃんが先天性異常をきたす感染症にも注意が必要です。代表的なものを数年に一度、日本でも流行している風しん。妊娠を望んでいるなら、妊活の第一歩として風しんの抗体検査をパートナーと受けてください。

また猫の排泄物に含まれるトキソプラズマ菌、加熱していない食品などから見つかるリステリア菌、幼児の尿やよだれなどを介して感染するサイトメガロウイルス菌の感染予防には手洗いを徹底し、食品は加熱するなどの対策を忘れずに。


睡眠不足やストレスもつわりを悪化させるなど、体調不良につながりますから、妊娠が分かったら規則正しい生活を心がけ、できるだけ穏やかに日々を暮らすようにしたいですね。

つわりは辛くても、自分のおなかで赤ちゃんが育っていくのを実感するのは、プレママだけの特別な経験です。プレパパもプレママの気持ちに寄り添いながら、まだしばらく続く妊娠期をふたりで乗り越えていきましょう。

<参考資料>
【監修】吉村泰典(よしむら・やすのり)
慶應義塾大学名誉教授 産婦人科医

1949年生まれ。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。これまで2000人以上の不妊症、3000人以上の分娩など、数多くの患者の治療にあたる一方、第2次~第4次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。「一般社団法人 吉村やすのり 生命の環境研究所」を主宰。

この記事をシェアする

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

あなたへのおすすめ

おすすめの記事を見る

記事を探す

カテゴリから探す

キーワードから探す

妊娠期/月齢・年齢から探す