【専門家監修】
子どものコミュニケーション能力と「言葉力」の育み方(後編)

2021.10.07

ミキハウス編集部

「読み聞かせ」は親子のやりとりを楽しみながら

「読み聞かせ」は親子のやりとりを楽しみながら

――最後に言葉の習得に役立てたいと、多くのママ・パパが取り組んでいる「読み聞かせ」について、先生からのアドバイスをお願いします。

皆川先生:読み聞かせはとてもいい習慣だと思います。言葉の発達に役に立つのはもちろん、親子が一冊の本を読みながら共感し合うのは、子どもにとっても、お母さん・お父さんにとってもかけがえのない時間なのではないでしょうか。

――親が一方的に本を読んで聞かせるというより、その時間を親子一緒にその時間を楽しめるといいですよね。でも、本読みが嫌いなお子さんもいますよね、その場合どのようにすればいいですか。

皆川先生:おっしゃる通り、親子一緒に楽しめるのが一番ですが、大きくなってくると本読みが嫌いで逃げ出すお子さんもいますよね。楽しかった、おもしろかったという体験をいかに増やすかが大事ですが、どうしても読んでくれない場合は、心理学で“強化する”というんですが、たとえば本を読むと“ごほうび”がもらえるという経験を繰り返すと、本を読むきっかけ作りには良いかもしれません。

例えば、一緒に図書館に行って本を借りてきて、「これを一緒に読んだら、おやつにしようね」とか、「読み終わったらカレンダーにシールを貼ろうね」と、子どもがワクワクするような楽しいおまけをつけてあげてみてください。このやり方は小さな子ほど効きますよ。もちろん本読み自体も楽しくなるような工夫が大事です。

――それなら本を読むことが楽しくなって、成長してからも読書好きになりそうですね。

皆川先生:私自身、子どもの頃は母に図書館に連れて行ってもらうのがすごく楽しかったんです。そこが入り口になって、その後本が好きになった気がします。

――最近はタブレットなどでも絵本を見ることができるようになりました。先生はタブレットの絵本をどう見ておられますか?

皆川先生:デジタルツールを育児にどう取り入れていくかというのは、最近の大きなテーマで、卒論で研究する学生も増えてきました。彼女らの文献調査から見えてくるのは、子どもが夢中になってタブレットに触っているうちに、ひとりでその世界に没入しがちな問題です。本の中身より画面やボタンに気を取られるようです。

皆川先生:他者とのコミュニケーション、特にお母さん・お父さんと触れ合う機会がタブレットやスマホの登場で奪われている世の中の傾向はちょっと気になっています。絵本の楽しみはお母さん・お父さんと同じ絵を眺めて「この子はどうするかな?」、「次はどうなるかな?」とやり取りするところにありますよね。もちろん毎日の大変な子育ての中でそのような時間を作るのは難しいのですが。

私も今、言葉の発達に役立つ絵本を作っているのですが、読み手のお母さん・お父さんが子どもに伝えたいことを強調したり、アレンジして読んであげて欲しいなと思っています。もっともタブレットでもそういう読み方をしていただけるといいですけれどね。

――絵本のように親子一緒に読むのであれば、タブレットでも構わないということですよね。

皆川先生:はい。絵本であろうがタブレットであろうが、そこに親子の良好なコミュニケーションが介在していればまったく問題ないと思います。ただ、タブレットの場合は往々にして子どもに与えているだけのケースも多いのではないかと。場合によってはそのような使い方も必要だと思いますので、要は目的に応じた使い方ではないでしょうか。余裕があるときにはぜひ親子の絵本読みでコミュニケーション能力も伸ばしてみるといいですね。

――おっしゃる通りですね。わが子には心が響きあう言葉のコミュニケーションができる人に育ってほしいと心から思いました。本日はいいお話をありがとうございます!

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