【専門医監修】男性の妊活で大切なことってなんでしょうか?

2022年4月1日から不妊治療の保険適用が開始され、人工授精などの一般不妊治療や体外受精、顕微授精の生殖補助医療が3割負担で受けられるようになりました(※1)。妊娠を希望するプレママ・プレパパにとっては朗報ですね。

不妊治療が身近になって、男性の妊活の形も変わっているようです。慶應義塾大学名誉教授で産婦人科医の吉村泰典先生に妊活を考えるプレパパが知っておくべきことを伺いました。

治療で精子の数を劇的に増やすのは難しいことも

治療で精子の数を劇的に増やすのは難しいことも

担当編集I(以下、I):今回のテーマは「男性の妊活」です。ひと昔前までは「不妊は女性の問題」と考えられていましたが、近年では男性側に起因する不妊症の存在も知られつつありますね。

吉村先生:おっしゃるとおり、不妊の原因は半数近くが男性側にもあると言われています。不妊とはカップルが避妊せずに1年程度性交しても妊娠しない状態をいいます。“男性不妊”の原因の多くは精子を十分に作ることができない「造精機能障害」で、全体の8割強を占めます。その他、性行為ができない「性機能障害」が1割強、その他に精子が出てこない「精路通過障害」なども原因としてあります。

I:男性不妊の予防法や治療法はどのようなものがなされているのでしょうか?

吉村先生:軽めの運動、バランスのとれた食事と睡眠、深酒しない、禁煙…等々、要は生活習慣を正すことで予防できると言われています。たしかにそれは大切なことではあるのですが、それにより精子が劇的に多くなることはありません。

吉村先生:また投薬で精子の数を増やすという治療法もありますが、効果が認められるのは限定的な症例です。男性不妊、特に「造精機能障害」を治療により抜本的に改善することは、残念ながら難しいと言ってもいいでしょう。

I:つまりは精子の質や量に問題がある男性は、治療法があまりないということですか? 

吉村先生:そうですね。ただ、体外受精や顕微授精などの生殖医療が発達した近年では、男性不妊を生殖医療で乗り越えるケースが増えています。妊活をはじめてすぐに検査をして「造精機能障害」や「性機能障害」が明らかになったら、生殖医療に切り替えることをお勧めいたしますし、実際にそのような選択をする方も増えているようです。

I:男性不妊が原因の場合、タイミング療法などで自然妊娠に望みを託すより、体外受精や顕微授精での妊娠を目指すのがお勧めということですね。

吉村先生:はい。ちなみに2022年4月1日から始まった不妊治療の保険適用で、女性の開始時の年齢や回数に制限はあるものの、体外受精や顕微授精が3割負担で出来るようになりました。体外受精や顕微授精の経済的なハードルが下がったのは、妊娠を望むカップルにとっては喜ばしいことではないでしょうか。

次のページ 妊活における男性の「役割」とは?

この記事をシェアする

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

あなたへのおすすめ

おすすめの記事を見る

記事を探す

カテゴリから探す

キーワードから探す

妊娠期/月齢・年齢から探す