紫外線の強さは太陽との位置関係や天候と大きく関係しています。同じ気象条件なら、太陽が真上に近いほど紫外線が強くなります。
こちらの図は、1997年から2014年に札幌、つくば、那覇で観測された紫外線(UV-B)照射量の平均値をグラフにしたもの。紫外線は南に行くほど多く降り注ぎ、夏に強く冬に弱くなっていることが分かります。
なお地表に降り注ぐ紫外線には、UV-AとUV-Bの2種類があります。上記の表はUV-Bの照射量を示したもので、この場合は春よりも夏の方が、照射量が多いことがわかります。一方、UV-Aは春先から4月〜8月にかけて照射量にあまり変動がありません。
特にUV-Aは雲やガラスなども透過する性質を持っているので、天気の悪い日でも、室内や車内にいても、思いもかけず肌にダメージを蓄積させていることもあります。春から紫外線対策が必要だというのは、そうした背景があります。
時刻別にみると紫外線量が一番多くなるのは正午前後で、午前10時から午後2時までの間に夏は一日の照射量のうちの約60%、冬は70~75%が降り注いでいます。もっとも紫外線量が多いのが夏場も冬場も12時〜13時となっています。
メラニンがつくられにくい「色白」の方ほど紫外線対策が必要です
紫外線には直接太陽から届くもの、何かに当たって散乱して届くもの、地面などで反射して届くものがあります。屋外で日陰にいても日焼けをするのは、散乱や反射した紫外線が当たっているから。雪山や砂浜でひどい日焼けをしてしまうのは、そういう理由があります。
「そもそも日焼けというのは私たちのからだが紫外線にさらされることで、メラニンという色素が表皮につくられ、それに覆われることで肌の色が褐色になる状態を指します。先程、『紫外線が細胞を壊す』というお話をしましたが、表皮がメラニンに覆われることで、体内の細胞や遺伝子が傷を負わないように守ってくれるのです」(七野先生)
人種や住んでいる地域によって肌の色がさまざまなのは、このメラニンが大きく影響しているため。メラニンが多いほど肌は黒く紫外線に対する抵抗性があり、少ないほど色白で紫外線への抵抗性がないということになります。
黄色人種である日本人は、“世界レベル”でみるとメラニン量はちょうど中間くらい。メラニンの多い人も少ない人もそれぞれいますが、より紫外線への抵抗性がない色白の方はメラニンがつくられにくい体質だと考えられるため、しっかりとした紫外線対策が必要になってきます。