待機児童数減で保育園「全落ち」は過去の話? 
気になる保活の現状

ミキハウス編集部

出生数の低下や保育園の増加とともに待機児童は減ってきています。厚生労働省の調査(※1)によると、待機児童数の数は5年で9分の1になっています。しかしながら、まだまだ厳しい保活を強いられている地域もあるのが実態です。なぜ、そんなことになっているのでしょうか?保活の現状に焦点を当て、まとめました。

 

待機児童数は5年で9分の1まで減少しています

待機児童数は5年で9分の1まで減少しています

保活とは、子どもを保育園に入れるための活動全般のこと。シンプルに考えると、待機児童が多い地域では保活も困難になるわけですが、最近はそうともいえないようです。後述しますが、「待機児童ゼロ」を宣言している自治体でも厳しい保活に悩まされている地域もあるのです。

待機児童問題が大きく取り沙汰されていた2010年代半ばに比べると、ここ数年は待機児童を巡る状況もかなり改善しています。

厚生労働省の調査(※1)によると、2022(令和4)年4月の待機児童数は全国で2,944人。調査開始以来4年連続の減少、なんと約9分の1まで減っているとのこと。約85.5%の市区町村で待機児童はおらず、待機児童数が50人以上の自治体は10自治体まで減少しています。

待機児童数が減った背景には、少子化対策の一環として保育園が増え続けていることがあります。同時に、コロナ禍もあり少子化が一気に加速したこと、感染を懸念した利用控えが指摘されています。

 

それでも保活が必要な理由

それでも保活が必要な理由

子どもは減り、保育園は増えている=保育園に入りやすくなっている。これは大枠では、間違いありません。しかしながら、「待機児童ゼロ」宣言をしている自治体でも、認可保育園に希望者全員が入れているわけではないという現実もあるのです。

もちろん、「入ることができればどの保育園でも構わない」というママ・パパであれば、選択肢はかなり広がっていますが、そういう方ばかりではないでしょう。希望通りの保育園に入れるかどうか、という観点からすると、依然ハードルが高い状況といえます。

また保活というのは、基本的には狭い範囲の“出来事”や環境に大きく左右されます。たとえば、自宅近くに巨大マンションや大規模分譲地ができれば、その地域はおそらく数年間に渡り、近隣の保育園の競争率が上がることになります。

コロナ禍でリモートワークが解禁となり在宅で仕事をすることが増えた、あるいは急激な住宅価格の高騰から、都心を離れ郊外へ移り住む子育て世帯も、ここ数年で増加しています。実際、首都圏エリアでは郊外で、転入者が転出者を上回る「転入超過」となっている地域も目立っています。

参考までに、総務省によると年少者(0~14歳)の転入が多い地域を調べてみました。2022年のデータでは、1位さいたま市(埼玉県)、2位町田市(東京都)、3位つくば市(茨城県)、4位流山市(千葉県)、5位柏市(千葉県)など、いずれも都心へのアクセスがいいエリアばかりが並んでいます。

0~14歳の転入超過数の多い自治体

〈▲ 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2022年(令和4年)結果」より〉

上位は首都圏エリアが中心となっていますが、他地域でも、札幌市(北海道)、糸島市(福岡県)、奈良市(奈良県)、明石市(兵庫県)、枚方市(兵庫県)といった地域にも、若年層の転入超過が多い結果となっていました。こうした“若いファミリー”の転入者が多い自治体では、保活激戦区となる可能性が高いといえます。

 

10月~11月に入園申し込みが行われます

10月~11月に入園申し込みが行われます

認可保育園の場合は、生後57日以降から預けられる園が一般的です。ただし、認可保育園でも受け入れを1歳以降としている園や、0歳児クラスがあっても生後半年以降というルールを設けている園もあるので、役所が配布している資料や窓口で確認しましょう。

認可保育所への入園申し込みは、通常10月から11月にかけて行われます。ですので、保活をスムーズに行なうためには、それまでに、情報収集や実際に通いそうな複数の保育園見学をしておくことが不可欠です。

なお認可外の保育所では、一般的に入園申し込みが随時受け付けられています。ただし、多くの園が「見学や説明会への参加後に申し込みを受け付ける」あるいは「入園者を先着順で選定する」といった規則があるため、情報収集、見学、そして入園申し込みを早めに進めることが重要です。

 

1歳児入園は少ないパイの奪い合い

1歳児入園は少ないパイの奪い合い

保育園ではクラスが上がるごとに定員が増えるところも多いのですが、1歳児クラスはほとんど0歳児クラスからの進級組で定員が埋まってしまうため、新たな入園募集枠がほぼ設けられず非常に“狭き門”となっています。

たとえば定員15名の0歳児クラスがあったとします。1歳児クラスとなる際に定員を18人に増やしたとしても、0歳児クラスの子どもは引っ越しなどの事情がない限り、基本的にはそのままスライドして1歳児クラスにやってくることが多いので、新規希望枠は3人分しか空かないことになります。

他方、育休を1年〜1年半取得してから職場復帰する方も多く、そもそも1歳児クラスは競争率が高いという背景もあります。需要はあるが枠は少ないとなると、入るのは本当に難しいということになるわけです。

そのため1歳児入園を選ぶしかないご家庭は、0歳児クラスのない1歳児以上で入園する園を選択肢に入れてみるのもいいかもしれません。

 


 

以前に比べて、待機児童は減ってはいるものの、地域によっては希望の保育園に入れるのはまだまだ難しい状況ですが、マガジン編集部は皆さんの保活がうまくいくことを願っています。
さて、実際の保活の進め方はこちらの記事でまとめています。 是非、参考になさってください。

出典

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