――パパの子育て参加はもはや特別なものではなく、それぞれの個性や状況のなかで、自然体で取り組むものになりつつあるのかもしれません。皆さんのお話をお聞きしていると、旦那さんとの協力体制は十分に整っているようですが、その他職場復帰にあたって不安だったり、悩んだりしたことはありますか?
北見さん:主人の協力をはじめ、保育所やその他色々なサポートなどの環境は整っていて、確かに恵まれていると思います。ただ、自分のなかの折り合いをどうやってつければいいのかが一番不安というか、今も抱えている悩みです。ずっと働き続けたいという気持ちは強く持っていますが、今は子どもを1日11時間、保育所に預けている状況です。そのなかで、自分が満足できる仕事をできているかと言われると、「イエス」と言い難いところがあって……。
松尾さん:共感します。できればフルタイムで働きたい気持ちがあるのですが、今の状況ではどうしても時短で働かざるを得ません。今までの「店長」という立場から「スタッフ」に替わって、今後限られた時間内でどのような役割を果たしていけばいいのか考えてしまうこともあります。でも、キャリアはあるし、“出産した主婦”というお客様に近い立場である自分が、どこまでできるかということを追求したいという気持ちもあります。今の私にやれるのは、物理的にここまでというもどかしい思いもありますが、子育てが落ち着いたらこうしていきたいなぁというイメージを今は深めています。
――小嶋さんは会社が変わり、新しい環境で復帰したという意味で、二重の大変さがあったと思うのですが。
小嶋さん:今の会社では、“ママ”であることを前提に採用いただいたので、子どもが急に熱を出したときなども理解していただき、とても感謝しています。ただ、お二人と同じように、これまでのキャリアを活かせると思って入社したところもあったのに、時間を気にして存分に働けない、子育てという軸があるなかで、なかなか外部に対して思うようにお役に立てていないのではないか、という思いがあります。一方で、自分の内部では、子育てと仕事を両立するなかで、思ったよりも色々なことができるんだということに気づきました。女性って、同時に色々なことができるって言うじゃないですか。出産して仕事に戻って、想定していなかった自分に出会えたことは、とても大きなことでした。
(part3に続く)
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子育てと仕事を両立する環境が次第に整ってきているなかで、仕事に復帰したワーキングママの大きな悩みは、自分の中での“折り合いのつけ方”なのかもしれません。
最後のpart3では、様々な困難があっても「仕事を続ける理由」について聞いてみました。
【座談会メンバー】
北見梢(きたみ・こずえ)さん/32歳、マスコミ勤務。報道部在籍中に妊娠し、産休・育休を取得。2014年8月に復帰。現在は10時〜18時の勤務体系で、1歳3か月の長女を子育て中。
小嶋陽子(こじま・ようこ)さん/41歳、不動産会社勤務。情報サービス系企業に在籍中、2013年2月に出産し、育休を取得。職場復帰直前、会社売却に伴い所属部署の閉鎖を経験。すぐに求職活動を行い、自宅近くの不動産会社に再就職した。現在はフルタイム・残業なしの勤務体系で、1歳9か月の長女を子育て中。今回は、外資系企業に勤務する旦那さんも座談会に飛び入り参加。父親としての立場から、“イクメン”という言葉に対する違和感を語る一幕も。
松尾久美子(まつお・くみこ)さん/39歳、ミキハウス勤務。3か所での店長職を経て、池袋東武店長兼エリアマネージャーに。2010年、同社の出版部門で働く旦那さんと結婚。2012年11月から産休・育休を取得し、2014年4月に復帰。現在は役職なしで、時短の7時間勤務で1歳10か月の長男を子育て中。