出産から退院まで、だいたい5日間。この期間、どんなことをママは経験するのでしょうか。授乳指導、会陰切開の痛み、母児同室など、産後の入院生活に関する疑問のほか、産院と助産院の違いについても、慶應義塾大学医学部名誉教授の吉村泰典医師にお聞きしました!
Q.産後どれくらいで授乳指導は始まるのでしょうか。私の母が授乳に苦労したらしく、それを聞いていたら私も不安になってきました。また、妊娠中から授乳がうまくいくように準備できることはありますか?
授乳指導はほとんどの病院で行われ、だいたい出産の翌日から本格的に始まるというところが多いですね。
この方は、お母さまがご苦労されたということですが、母乳が出やすいかどうかについて、遺伝は関係ないと思います。ただ、本当に出にくいという人はいて、涙を流しながら授乳される方もいますね。
母乳は先ほども申し上げたように、初乳がとても大事なので、なるべく早く授乳してもらいたいのですが、うまくいかない人も中にはいます。熱血タイプの助産師は、そういう人に「絶対に出るからがんばりましょう」といってしまいがちですが、その言葉がプレッシャーになり、あせってしまってますます出にくくなるケースも。
最初のうちは、お母さんも赤ちゃんも慣れていないから仕方ない、くらいの気持ちでいることをおすすめしたいです。いざとなれば、人工栄養(粉ミルク)を使ってもいいので、産後を少しでも楽に過ごしてもらいたいです。
妊娠中の準備ですが、妊娠中期になった頃に、乳首のケアをしておきましょう。乳頭を指ではさんで2~3回引っ張ってみたり、乳頭部をつまんで回すようにマッサージしてみたり。お風呂上りなどに行うとよいですね。こうしておくことで乳首がやわらかくなり、赤ちゃんがお乳を吸いやすくなります。
ただし、妊娠後期になったらやめましょう。乳首を刺激すると子宮の収縮が起こる場合があり、早産につながる可能性があるからです。