連載「高橋たかお先生のなんでも相談室」 
子どもにとって「生まれてから12か月」が意味すること

生後3、4か月は発達をチェックする大事な時期

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高橋先生:生まれてから最初の12か月間っていうのは、文字通り何もできなかった子どもが、人間としての機能を獲得するための期間なんですね。生後12か月間で身に着ける人間としての機能は何かというと、一つは「言葉によるコミュニケーション」。二つめが「2本の足で歩くこと」。三つめは「小さな物を親指と人差し指でつまむ」ということです。

K:よくよく考えると、たった12か月で、そこまでの機能を獲得するってすごいことですよね。

高橋先生:そうですね。先ほど生後4か月頃の頭囲の大きさ、発達の目安について話しましたが、最初の12か月を「1」とすると、3か月で「4分の1」。ここに“第一関門”があり、ここで赤ちゃんの成長や発達具合をチェックすることがすごく大事なことになります。だからこそ3、4か月健診の時はいろいろなことが詰め込まれているんです。繰り返しになりますが、お医者さんはそこで、成長(身長、体重、頭囲の増加)と発達(声を出して笑う、など)がしっかり進んでいるか、つまり体が形作られて、そこに必要な機能が宿ってきているかを、しっかり診ています。

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K:3、4か月健診では、「頭囲40センチ」と「声を出して笑うこと」などをチェックしているということですね。

高橋先生:目でものを追うようになるのも3、4か月ですし、首が座ってくるのも3、4か月なので、そのあたりも確認します。
そして、第2関門は6か月頃にあります。この時期のポイントのひとつは「つかむ」こと。

K:ものを握る、ということですか?

高橋先生:はい。生後6か月だと周囲の人や物に盛んに興味をもち、自分から手を伸ばしてつかむようになります。先ほど、12か月で獲得すべき機能の三つめに「親指と人差し指でつまむ」を挙げていますが、6か月での「つかむ」はその中間地点です。まずは、この時期につかむことができることが重要となってきます。

K:「つかむ」と「つまむ」は違うんですね。

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高橋先生:そこは明確に違います。人差し指と親指でものを“つまむ”ことは、人間特有の高度な機能なんですよ。
指先で小さいものをつまむという行為は、実はサルにはできません。人間の場合、12か月くらいになると、小さなゴミとか髪の毛などを指先でつまむことができるようになりますが、これが順調に発達していることを示しています。

K:全然知りませんでした! いずれにせよ、まずは6か月でものを「つかむ」ようになっていたら、順調だということですね。

高橋先生:そういうことです。でもすべてのことには誤差があるので、プラスマイナス2か月くらいは平気でずれると思っていてください。ちなみに、立つのは12ヶ月くらい、歩くことができるのは平均で14か月とされていますが、これも個人差がありますので、あくまで参考程度に。

K:個人差があるとはいえ、親としてはついつい子どもの発達ペースって気になってしまいますけどね(苦笑)。先ほど、12か月で「言葉によるコミュニケーション」ができるようになるとおっしゃられていましたが、これはどのくらいのレベルのことを指しているのでしょうか?

高橋先生:“意味のある言葉”を一つ言えるようになる程度です。別に正しい言葉でなくてもかまいません。ごはんが「まんま」とか電車が「じゃ」とか。1歳児健診のときに必ず聞かれる質問ですね。

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