【今回の記事のポイント】
●専門家が語る二人目不妊の要因とは?
●二人目不妊の当事者のリアルな声
●二人目不妊と社会的課題の密接な関係
●「二人目の壁」を越えるためにできること
「二人目不妊」の現実、ご存知ですか?
妊娠しづらかったり、妊娠できない状態を指す「不妊」。世界保健機関(WHO)や日本産科婦人科学会によると、不妊の定義は「1年以内に妊娠に至れない状態」としています。現在、日本では約5.5組に1組の夫婦が不妊症で悩んでいるとされ、何らかの不妊治療を受けている療患者数は約50万人とも推計されています(国立社会保障人口問題研究所「第 15 回出生動向基本調査」より)。
そんな不妊症に悩むカップルで、見過ごされがちなのが“二人目不妊”のケース。
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日本の不妊治療の現場を20年以上にも渡り見続けてきた一般社団法人・日本生殖医学会の幹事長で「亀田IVFクリニック幕張」の院長を務める原田竜也先生は、「二人目不妊は非常に増えています」と、その実態についてこう説明します。
「大阪府不妊専門相談センターの調査によると、平成25年の二人目不妊の相談件数は全体の16.4%にのぼっています。また、幕張(千葉県)にある私のクリニックの場合はもっと顕著で、全体の2〜3割は二人目の不妊のケース。このように地域間の差はあるとは思いますが、日本全体で、二人目不妊に悩むカップルは増えていると実感しますね」
では二人目不妊の原因は、どのようなものが考えられるのでしょうか。原田先生は第一に「やはり加齢に伴うものが大きい」と指摘します。
「一般的に35歳をすぎると女性の妊娠率はガクンと低下しますから、一人目を妊娠したタイミングが遅くなると、どうしても二人目不妊になる確率は上がります。これだけ晩婚・晩産化が進んでいますから、これは必然とも言えます。ですから35歳以上の方で二人目を希望する場合、一人目を出産した後、できるだけ期間を空けずに受診することをお勧めいたします」
続いて加齢以外の要因について原田先生はこう言います。
「一人目の分娩が不妊に繋がることもあります。人によっては出産時に大量に出血したり、子宮内に細菌が入ってしまうケースがあり、それが原因で内膜炎になったり、卵管が詰まってしまい、妊娠しづらい体になることもある。また、授乳期間が長いと黄体ホルモンの分泌が不十分になり、黄体機能不全という状態に陥りやすく、結果妊娠しづらい体になってしまうことも考えられます。これは不妊症の中でも二人目不妊特有の原因と言えるでしょう」
また、二人目不妊でも無視できないのが男性に原因があるケースだといいます。
「男性も加齢に伴い精子の活動力は下がります。加えて、特に二人目を希望されるタイミングの男性は働き盛りで、日頃のストレスや不規則な生活習慣で一層その力は低下してしまう。最近は若くして射精障害や勃起障害で悩む男性も増えています。シンプルな話ですが、射精できないとなると自然妊娠は難しい。そういう男性がまずすべきことは生活習慣の改善です。(喫煙者であれば)禁煙をしてみたり、アルコールを飲みすぎないように注意したり…また、できるだけ“禁欲期間”を作らないことも大切なことです」(原田先生)