増加傾向にある「二人目不妊」の実態 
日本社会に横たわる“二人目の壁”とは

ミキハウス編集部

「二人目不妊」経験者の生の声

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近年、増えているという二人目不妊。続いては、実際に二人目不妊を経験された方にお話を伺ってみたいと思います。今回は不妊治療体験者を支援している「NPO法人Fine」からお二人の方にお話をお聞きしました。

お一人目の女性Mさん(42歳)は旦那さん(39歳)と息子さん(4歳)の三人家族。2013年に一人目を出産し、2015年から二人目の不妊治療に当たりました。

「私は元々不妊症で、一人目を妊娠するまでにも7年かかりました。ですから、息子が生まれた時には本当にうれしかったです。二人目不妊治療を受けようと思ったきっかけは、一人目の治療の時の凍結卵が残っていたからです。一人目の時点で高齢出産でしたから、二人目は厳しいことは十分承知していましたが、一人目の時に苦労していたので、命の詰まった大事な受精卵を無下にはできないと思い、お腹に戻して出産したいと思いました。これは主人も同意見でした。ただ治療を続ける過程で私に子宮頸がんが見つかってしまい、一時は子宮の摘出手術の可能性も……ただ、二人目のためにどうしても子宮は残したいと、子宮頸部の入り口だけ取り除いて治療を続けました」

Mさんのお腹に二人目の命が授かることはありませんでした。しかし、「チャンスがあれば、もう一人産みたい」というご夫婦の意向で、現在は治療を続けるのではなく自然に任せているそうです。そんなMさんは二人目不妊治療をしていた時のことをこう振り返ります。

「一番苦労したのは子育てをしながらの治療になったこと。私は仕事をしていなかったので子どもを保育所に預けておらず、一人目を見ながらの治療はとても苦労しました。それに、不妊治療専門病院に子どもを連れて行くことに対してもすごく不安や抵抗がありました。治療に通っている方に不快感を与えていないだろうか、『息子がうるさくしたらどうしよう』とソワソワしてしまったことを今でも覚えています。そういう意味では、二人目不妊こそ家族など周囲の協力が欠かせないと感じました」

続いてのOさん(40歳)は旦那さん(41歳)と5歳と5か月の二人の娘さんの4人家族。2011年に第一子を出産、2015年の2月ごろから二人目不妊治療をスタートしました。

「一人目を出産した時点で30代半ばだったため、二人目を希望するならすぐに行動したかったという思いがありました。しかし、一人目が1歳を迎えた時に以前の会社を退職しなければならず、転職先を探したり、次の会社が見つかってもすぐに産休を取るわけにもいかなくて、なかなか二人目をつくるタイミングが見計らえずにいたんです。そしてようやく治療を始められても、実は私は一人目の時に一度流産を経験しているので『次の子もちゃんと生まれてきてくれるだろうか』と不安で仕方ありませんでした」

そんなOさんでしたが、2016年には無事二人目を妊娠。しかしそれまでには多くの苦労があったと言います。

「私が一番苦労したのは治療と仕事とのバランスをどう取るかということでした。働きながらの治療だったので、娘を保育園に迎えに行ったら電車に飛び乗って、毎回診療時間ギリギリに病院に滑り込み。それが大変で、シフト制の仕事を希望して異動したんです。今思い返して『よかったな』と思うのは、新しい職場で思い切って不妊治療をしていることを周りの人に伝えたこと。お子さんのいる方も多い職場だったので、『何か困ったことがあったら遠慮なく言ってね』『急に休みをとることもあるだろうけど、職場のことは気にしないで』と優しい言葉をかけていただけて、それが心の救いにもなりました」

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