ユニセフは妊娠初期、胎芽のときから生後2歳の誕生日を迎えるまでの「最初の1000日」に栄養状態を良好に保つことが子どもの発育阻害を防ぐと発表しており(※1)、栄養が脳に与える影響が大きいことは多くの脳学者も主張しています。実際に、完全母乳の赤ちゃんが気をつけたい「離乳期貧血」や子どもの鉄欠乏は、運動機能・認知機能・精神活動といった神経系の発育に長期にわたり能力低下などの影響を及ぼすことが報告されています。(※2~4)
「脳の発育に良い栄養」ときくと、と、「DHA(ドコサヘキサエン酸)」を思い浮かべられる方も多いでしょう。あるデータでは実際に母親が妊娠中〜授乳中にDHAを摂取したことにより、その他の油を摂ったケースと比較して子どもの4歳時点での物ごとを見てそれが何かを理解する力、「認知処理能力」が高いことが報告されています。(※5)
DHAとは、人体に不可欠な「必須脂肪酸」で、体内で合成できないため、食品等からとらなければいけません。このDHAのような「必須脂肪酸」は妊娠20週から需要が高まり、2 歳くらいまで脳神経の発達に欠かせない働きをします。必須脂肪酸は、人の身体では作り出せない栄養のため、親が意識して与えてあげることが大切です。授乳中のママはぜひ摂っていただきたいですね。
ではどうやって摂取したらいいのでしょうか。
DHAをもっとも含むのは魚ですが、離乳食で毎日魚を食べさせるのは大変…と思われる方もいらっしゃると思います。そこで、体内で一部がDHAに変換されるα-リノレン酸を含む、亜麻仁油・エゴマ(シソ)油・チアシードなどを離乳食に取り入れることをおすすめします。ちなみにわが家の場合は、娘の離乳食に7か月をすぎた頃から少量のエゴマ油を加えるようにしています(毎食ではありません)。
ただし注意していただきたいことがあります。これらの油は酸化に弱いため、加熱には適しません(なおクルミもα-リノレン酸を含む食品ですが、アレルギーの原因食材となる場合がありますので、3歳くらいまでは避けた方がよいでしょう)。また、これらの食品はDHAへの変換率が低く、人によっては変換できない方もいますので、やはり魚を食べる習慣を大切にしてくださいね。
あと分解能力は個人差があります。身体に入った脂質は、肝臓と胆嚢で分解されるのですが、赤ちゃんによってはまだ消化できない子もいます。そういう場合は、下痢や軟便の原因になりますので、少量与えてみて、必ず赤ちゃんの便の様子を見てあげるようにしてくださいね。