産後ママの不調を少しでも軽くする予防法や対策についても伺ってみました。
「産後のママの体の回復は、だいたい2カ月ぐらいかかると言われています。頼れるところがあれば頼ればいいし、赤ちゃんは泣くものなんだから、少しぐらい泣いても気にしないで、自分の体をいたわりながら暮らすようにしたらどうでしょう。あれこれ漠然と不安になったり心配したりと、忙しい心を休ませることも大切です。ママが元気になったら、赤ちゃんのお世話をがんばればいいんです。また出産前に、産後の生活プランについてパパやその他の家族と話し合い、誰にどんなことを手伝ってもらうとか、こんな時はどこに頼もうとか考えておくと不安が少なくなるんじゃないでしょうか。とにかく『ちゃんとやらなきゃ』、『いいママにならなきゃ』と切羽詰まった使命感で子育てをするよりは、赤ちゃんの変化を楽しみながら、一緒に成長してほしい。子どもが育っていく時間は、ママが育っていく時間でもあるんですから」(萩原先生)
今回は産後トラブルをテーマにしたため、ここまで読んで「こんなに苦しいならちょっと…」と出産に対して前向きな気持ちになれなくなった方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そうした大変な時期を越えて、いやそうした大変な時期さえも今となっては宝物のような時間だったと語る方は少なくありません。
産後の苦しかった日々を話してくれた前出の先輩ママ・パパたちも、異口同音に子育ての楽しさを語っています。
「妊娠・出産に続く子育ては初体験ばかり。ハプニング続きの毎日ですが、子どもの成長はすべてを喜びに変えてくれます」(30代ママ)
「生まれた時は、こんなに小さくて大丈夫かなと心配したけど、すっかり大きくなり、もうすぐおむつも卒業です。赤ちゃん時代がなつかしいです」(20代パパ)
「あの時は本当に一生懸命だったと思うけど、なにが大変かって思い出すのも忘れちゃうことが多いんですよね(笑)。いや、とっても大変だったと思うんだけど、それを幸せが上書きしてくれるから。あ、もちろん子育ては今も大変ですよ。先日2歳になったのですが、2歳なりの大変さがあるから。でも楽しいです。毎日とても大変だけど、とても楽しい」(30代ママ)
産後のママはいろいろ大変。でも、すくすく育つ赤ちゃんの生命力と無邪気な笑顔に、新米ママの悩みやパパの心配は吹き飛んでしまうようです。家族みんなのハッピーな毎日のために、ママが一日も早く体力を回復して、元気ですごせるように、出産前から産後のすごし方について考えておきたいですね。各地域での子育てサポート支援施設ができてします。それらに相談するのも良いでしょう。
それでは最後に、これから出産を迎えるママとパパへ、萩原先生からこんなメッセージをいただきました。
「知識を基に、子育てが上手くいっていないのではと気にするママは多いです。でも赤ちゃんだって人間だから、ネットや本に書いてある通りに育つわけじゃないんですよ。赤ちゃんの成長もそれぞれ。それも“個性”なのです。センターのメッセージである『ゆっくりおかあさんになってください』では、育児技術の習得(やりかた・方法)も赤ちゃんに合った方法をさがして練習しましょうと提案しています。最初のうちは赤ちゃんがこわれそうで、抱っこもこわいというママもいるようですが、こわがらないで赤ちゃんをいっぱい触ってあげてくださいね。おおらかな気持ちで赤ちゃんに接すると、子育ては楽しくなりますよ」