次に妊娠期間中のママの体の変化と、食べ物とのかかわりについて、初期・中期・後期に分けて簡単に説明します。
妊娠初期は特に食べ物や飲み物に気をつけましょう
妊娠4か月までの妊娠初期は、赤ちゃんの臓器や手足が形成される大切な時期。ママが口にするものが赤ちゃんに影響を与える可能性も高いので、生ものやアルコールなど、食べ物や飲み物などには気をつけた方がいいでしょう。なお、一日中吐いてしまう、体重が急激に減少する、水分すら受けつけない、などの症状がある場合は、お医者さまに相談しましょう。
妊娠中期は食欲が出ます
赤ちゃんのために栄養を摂りましょう!
妊娠5か月から7か月までの妊娠中期には、ママはおなかの膨らみが目立つようになってきます。赤ちゃんの骨や筋肉も発達して、羊水の中で動き回るようになり、胎動を感じるでしょう。ほとんどのママが安定期に入り、食欲が出る時期でもあります。体型がみるみる変化してくるので、太りすぎるのではないかと心配するママも多いのですが、赤ちゃんのためにも栄養やカロリーをきちんと摂りたいものです。
妊娠後期で食欲が出ないママは
1回の食事量を減らして、食事の回数を増やしてみてください
妊娠8か月をすぎたら、妊娠後期。ママの体も赤ちゃんも出産の準備を始めます。おなかがせり出して胃を押し上げるので、むかつきやもたれに悩まされるママもいます。そんな時には食事の回数を増やして少しずつ食べるといいでしょう。
続いて、妊娠期を通しての食生活についてママが気をつけるべきこと。堀部先生は「適度なエネルギー摂取」を第一に挙げます。
「現代の日本人女性の摂取カロリーは1600~1700キロカロリー程度で、江戸時代の女性と同程度と言われるほど低くなっています。20代から40代の女性に必要なエネルギー量は1日2000キロカロリー。最近の女性はとにかくやせ傾向が顕著です。妊娠すると、赤ちゃんの成長に伴って必要なエネルギー量は増えていくので、ママ自身の体を維持するだけではなく、おなかの赤ちゃんを育てるためのエネルギーも意識して摂ってほしいと思います」(堀部先生)
WHO(世界保健機関)が定めた肥満判定の国際基準BMI(体重÷身長÷身長)で見ると、女性の場合BMI18.5~25が適正、18以下はやせ過ぎ、25以上で肥満とされています。日本の妊娠適齢期の女性にはBMI16~17程度の人が珍しくないそうで、「やせすぎは不妊の原因にもなります。」と堀部先生は話します。
ママのやせ傾向は、生まれてくる赤ちゃんにも影響を及ぼすそうです。
「やせ傾向の強いママは、流早産の可能性が大きくなるというリスクがあります。正常妊娠で生まれた赤ちゃんの体重が2500グラム以下の場合を低出生体重児と呼ぶのですが、最近はそんな赤ちゃんが非常に増えています。医学の進歩で高度な新生児管理が可能になり、低体重児でもしっかり育つようになっていることが増加要因ではあります。ただ低体重児には、発育の面でのリスクもあると言われています。通常、妊娠期間中のママの体重増加は10㎏ぐらいがひとつの目安ですが、ほとんど体重が増えない方もいる。これは本当によくないことです。生まれてくる赤ちゃんのためにも、妊娠中のダイエットなどは避けた方がいいでしょう」(堀部先生)
たしかに出産後もスタイルの変わらないママは素敵に見えます。しかし、妊婦さんの最大にして唯一の目的は母子ともに健康に出産を終えること。決して、妊娠前のプロポーションを保つことではありません。妊娠中は赤ちゃんのために必要なエネルギーを摂って、適正体重を維持することを心がけた方が良さそうです。