妊娠中のママが知っておきたい食べ物のこと(後編)
妊婦が本当に注意すべき食材について

2018.03.01

ミキハウス編集部

食品が関係する妊娠期特有の病気

妊娠とは、ママとおなかの赤ちゃんが二人三脚で出産と言うゴールに向かって走り続けるマラソンのようなもの。トラブルなく完走できればいいけれど、時には思いもよらない体の不調を感じることがあるかも知れません。

ここでは、ママが食べたり、飲んだりする食品によって起きがちな病気や、食べ方を工夫することで症状を改善できる病気を紹介します。それぞれ原因や対処法を知っておくと、妊娠期を不安なく、より健康にすごすために役立つと思いますよ。

注意すべきこと:食あたり
対処法:基本、生食は避けて加熱すること

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妊娠中は免疫力が低下しているので、食あたりには気をつけたいもの。普段何気なく食べているものでも、おなかをこわしてしまうこともあります。食あたりの原因となる細菌やウィルスの代表的なものに、生魚から感染する腸炎ビブリオ菌、鶏肉や卵などが感染源のサルモネラ菌、二枚貝などを生で食べた時に発症するノロウィルスなどがあります。
「どれもきちんと加熱することで死滅する菌なので、生のまま食べない注意が必要ですね。もう一つ気をつけたいのは、チーズや生ハムに含まれるリステリア菌です。これは感染力が強いものではありませんが、胎盤を通じて胎児に感染することがあります。胎児が感染すると早産などのリスクが生じますから、充分に加熱するよう気をつけていただきたいです」(堀部先生)

普段なら「おなかの調子が悪い」くらいで済むことでも、妊娠中に下痢や嘔吐で脱水症状になると、おなかが張って子宮収縮を引き起こしてしまう危険性があります。たかが食あたりと軽く考えずに、おなかの赤ちゃんのためにも食べ物はしっかりと加熱調理して食べるようにしましょう。

注意すべきこと:妊娠糖尿病
対処法:食事を少しずつ数回に分けて食べる

血液中のブドウ糖を「血糖」と言います。人間の体は、甘いものや炭水化物を食べて血糖値が上がると、すい臓からインスリンというホルモンを分泌します。インスリンの働きがあるから、臓器はブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用したり、蓄えたりできるのです。インスリンは血糖を処理してコントロールするために必要なもの。でも妊娠中は赤ちゃんにもブドウ糖を供給するため、インスリンの働きがおちて、糖のコントロールがうまくいかなくなることがあります。これが「妊娠糖尿病」です。

「妊娠糖尿病は、早産や胎児の発育不全を招きます。出産が終わると自然に回復するケースが多いのですが、糖尿病に移行することもあるので、母子ともに厳重な健康管理が必要です。まずは食事療法ですが、インスリン治療が必要になることもあります」(堀部先生)

ママたちの食の欧米化も妊娠糖尿病の一因と堀部先生は指摘します。食後に血糖値が上がりすぎないように、数回に分けて少しずつ食事を摂る「分食」は、妊娠糖尿病に効果的な食事法です。

 

注意すべきこと: 妊娠高血圧症候群
対処法:塩分を控える

「妊娠高血圧症候群」は、妊娠20週から出産後12週までに高血圧もしくはたんぱく尿を発症する病気です。ママにとっては血管障害などの原因となり、おなかの赤ちゃんにも血液が流れにくくなるので発育不全などにつながります。「妊娠高血圧症候群の原因は不明で、妊娠中の食生活で防げるものではありません」と堀部先生は言います。

「妊娠すると血液量が増えます。一方、血管の壁は弱くなりがちで、弾力がなくなってしまうと、増えた血液が血管を圧迫して高血圧症になります。血液は腎臓で再生されるのですが、高血圧症になると腎臓にも負担がかかります。妊娠高血圧症候群は、妊娠糖尿病と同じく出産すれば回復することが多いのですが、症状の改善には塩分を控えた食生活が効果的です」(堀部先生)

先生は、塩の代わりに唐辛子や減塩しょうゆを使った味付けをすすめてくださいました。だしや素材のうま味を生かした調理法も取り入れたいものですね。

 

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