屋外で遊んだとか、暑い部屋に長くいたという時に、赤ちゃんの体が熱くなっていたり、ぐったりしているようなら、熱中症かも知れません。
大人は熱中症をめまいやだるさなどの症状で自覚できるのですが、言葉で伝えられない赤ちゃんの場合は、そういうわけにはいきません。体温が高くなる、皮膚が赤く乾く、ぐったりする、汗が出ない、もしくは大量の汗をかくなどの異常をママ・パパが感じて、発症に気がつくことが多いようです。
「熱中症かなと思ったら、すぐに涼しい場所に連れて行き、水分を与えます。経口補水液が一番いいのですが、代わりにジュースやゼリーなどでも構いません。あまり欲しがらなくても、一口ずつでもいいので飲ませましょう。あとは、衣服をゆるめて安静にさせて様子を見ます。熱が高いようなら、太い血管が通っているわきの下や足の付け根などをタオルでくるんだ保冷剤や冷たいタオルで冷やしてあげると楽になります」(渋谷先生)
赤ちゃんの脇の下や足の付け根専用の冷却パックも市販されていますから、冷蔵庫に用意しておくといざという時に役に立ちそうです。
「意識がはっきりしないようなら、すぐに救急車を呼んでください。自分で水分摂取ができなくなったら、点滴などの医療処置が必要です。出来るだけ早めに医療機関を受診してください」(渋谷先生)
暑くなったら服を脱ぐとか、水を飲むなど大人にとっては当たり前のことが自分でできないのが赤ちゃんです。赤ちゃんが熱中症にならないように、ママ・パパは十分に気をつけたいものですね。
〈参考文献〉
※1「平成30年都道府県別熱中症による救急搬送人員数」(消防庁) http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/heatstroke/pdf/300702-sokuhouti.pdf
※2「熱中症を予防して元気な夏を」(消防庁)
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList9_2/pdf/leaflet.pdf
【プロフィール】
渋谷紀子(しぶや・のりこ)
総合母子保健センター 愛育クリニック
小児科部長 母子保健科部長
医学博士
東京大学医学部卒業。東大病院小児科、愛育病院小児科などに勤務したのち、カナダのトロント小児病院に研究留学。帰国後は東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院などを経て現職。自らも4人の娘を育てた先輩ママ。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。