特集「発達心理学からみる赤ちゃんの食事」(後編)
イヤイヤ期でも「食事をおいしく、きちんと食べる子ども」にするために

2018.09.20

ミキハウス編集部

すりつぶした食べ物を飲み込むゴックン期、食べ物を舌でつぶして食べるモグモグ期、1日3回の固形食になるカミカミ期と離乳食が進んで、咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)の口腔機能が十分に発達した赤ちゃんは、いよいよ幼児食を始めることになります。

この時期の赤ちゃんは、あんよが上手になり、自我が芽生え、しぐさや言葉で意思表示ができるようになってきます。自己主張も始まり、言うことを聞いてくれなくなって、どう対応したらいいか困ってしまうママ・パパもいるようです。

そんなわが子を「食事をきちんと食べる子ども」にするために、ママ・パパはどんなことに気をつけたらいいのでしょう。前編に続き、発達心理学がご専門の早稲田大学の外山紀子先生に「幼児食の食べさせ方」について教えていただきます。

 

幼児食の好き嫌いは、“食物新奇性恐怖”かも?

雑食性の動物は、気づかないうちに毒物を摂取してしまわないように、知らない食べ物を避ける“食物新奇性恐怖”という行動が見られるといいます。

「人間も雑食性の動物ですから、新しい食べ物はとりあえず用心するものですが、1~2歳の子どもは特にその傾向が強いのです」(外山先生)

離乳食は何でも食べたのに、幼児食に移った頃から、「イヤ」、「キライ」と選り好みをする子どもは少なくなくて、ママ・パパは「何が悪いのだろう」と悩むこともしばしばです。でもそれは単なる“わがまま”ではなくて、本能的な“食物新奇性恐怖”が働いているということもありそうです。

また、食べたものが原因で胃腸の不快感があると、たった1回の経験でも強烈な記憶となってその食べ物が嫌いになることがあり、それを“味覚嫌悪学習”と呼ぶそうです。

「ピーマンを嫌うなら、小さく刻んで料理に混ぜて味に慣れさせましょう」などと言うアドバイスをよく聞くものですが、外山先生は「人間は好きでないものに対して非常に敏感。だから子どもは嫌いなものを察知するとすぐにかぎ分けて、その料理を拒否するようになることもあります」と言います。

「ピーマンや人参を食べなくても、他にも野菜はあるので、おおらかに構えたらいいのではないでしょうか。神経質になって、『何とか食べさせなければ』なんて焦る必要はありません。それに大人になる過程で好き嫌いもなくなっていくこともありますし、また大人になって、嫌いな食べ物がいくつかあってもそれほど困りませんよね。他のものを食べればいいし、好き嫌いも個性の一つですから」(外山先生)

今は「山菜が大好き」というママ・パパだって、小さい頃から好物だったということはないはず。人は成長していく中でいろいろな味を知り、嗜好も変わっていくものです。無理して食べた思い出は、苦手意識を作ってしまうこともあり、好んで食べるようにはならないということを心に留めておきたいですね。

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