特集「発達心理学からみる赤ちゃんの食事」(後編)
イヤイヤ期でも「食事をおいしく、きちんと食べる子ども」にするために

2018.09.20

ミキハウス編集部

食事の時間は20~30分までと決めましょう

好き嫌いは個性くらいに考えてもいい……それは頭では理解できますが、やっぱりその後の成長や、長い目で見た健康な食生活のことを考えると、なるべくなら好き嫌いのない子に育ってほしいもの。ではどうしたら、わが子が無理なくいろいろなものを食べるようになるのでしょうか。

「信頼している親しい人が、おいしそうに食べる姿を見せることが好き嫌いを克服するために一番効果的です。たとえば人参が嫌いで、うちでは食べない子どもが保育園でなら食べるという場合、同じテーブルに座った他の友だちが人参を好きだと感化されて食べるようになることがあります」(外山先生)

嫌いなもの、苦手なものを「食べないから」と食卓に出さないようにするのではなくて、ママ・パパが食べる姿を見せること。ママ・パパがわが子と一緒に食卓に向かって同じものを食べるだけで、子どもの食の世界は広がるのです。

「こういうことを話すと『社会性を育てるために楽しく食べなきゃ!』って思われるママやパパもいらっしゃいます。でも、そんな無理しなくてもいいんです。食事の基本は食べ物に集中して食べること。私は研究で子育て世帯の食事の風景をビデオに撮ってもらっているのですが、なかには食事に1時間もかけたり、子どもが食卓を離れて遊び始めても追っかけて食べさせるママもいます。でも、子どもの集中力は10分か20分ぐらいしか続きませんから、食べないのであれば、20分ぐらいで切り上げてはいかがでしょうか」(外山先生)

粘って(半ば強制的に)食べさせるのは意味がないようです。では、どうすれば好き嫌いの少ない、たくさん食べる子になってくれるのか……。実は離乳食も幼児食も、うまくいくかどうかは食べる前に決まっていると外山先生は言います。

「子どもは身体の感覚に正直なので、間食はしていなくても、甘い飲み物を飲んだりして満腹中枢が働いていると食べられません。つまり食べない子にはそれなりの理由があって、食事のタイミングでお腹が空いていない可能性もあります。だからおなかが空いた状態で食事のスタートラインに向かわせてください。これ、見落としがちですが、食事をおいしく食べるためにはとても大事なことです。また、食事の途中で子どもが遊び食べを始めたり、『もう食べない』などと言い始めたら、思い切って食事をおしまいにしてもいいと思います。そして、次の食事まで何もあげない。子どもがほしがっても、中途半端に甘いものをあげたりせずに、『ダメなものはダメ』と断固とした態度をとることも、時には大事なことです」(外山先生)

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