細川モモさんに教わる 離乳食と食育の深い関係

細川モモさんに教わる
離乳食と食育の深い関係

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いろいろな食体験を通じて、食への興味や知識を育み、健全な食生活を実現する人間を育てていこうという「食育」。日本では2005年に食育基本法が制定され、国をあげて食育への取り組みが行われています。

食育は、知育(知能を高め、知識を豊かにする教育)、徳育(思いやりやコミュニケーション能力など道徳面での教育)、体育(体を発達・成長させるための教育)の基礎になるとされています。そこでミキハウス「出産準備サイト」では、わが子の食育のために、ママ・パパが知っておくべきこと、ぜひ取り入れていただきたいことについて、予防医療コンサルタントの細川モモさんにお話を伺いました。

細川モモさんの離乳食レシピはこちらをチェック

 

離乳食から赤ちゃんが学ぶもの

1歳のお誕生日を迎えるころには、体重が生まれた時の約3倍になるほど劇的に成長する赤ちゃん。生後6か月ぐらいまでは、おっぱいやミルクだけで大きくなるのですが、成長するにつれて、食物からの栄養摂取が必要になってきます。そこで、大人と同じように固形物を食べられるようになるための食事のトレーニングを始めます。それが「離乳食」です。

1歳の女の子を育てる現役ママであり、ご自身も今まさに「食育につながる離乳食」を実践している細川さんは「離乳食での食体験は、食育の第一歩。その後の赤ちゃんの成長にいろいろな面で大きな影響を与えます」と話します。

「赤ちゃんにとって、離乳食は学習の機会でもあります。離乳食を食べることによって、安全な食物を知る(=味覚安全学習)、体の不調などいやなことが起きる味を記憶する(=味覚嫌悪学習)、満足感を得られる好きな味と出会う(=味覚嗜好学習)、“おふくろの味”に代表される、食べ物を思い出や経験などと結びつけて覚える(=連想学習)と、4つの学習をすると言われています。新しい食べ物に出会うことは、赤ちゃんにとって大きな挑戦で、不安を伴うものです(娘も食育レッスンでブロッコリーやキノコを前に大泣きでした)。

そこから離乳食を通じて、いろいろな味を経験して、ママやパパと豊かな時間を共有することで、食べる楽しみを体感していく第一歩。私たち親が考えている以上に、食事の時間は子どもにとって経験という観点からも栄養・咀嚼という観点からも、脳への影響がとても大きいものです。赤ちゃんの食に深く関わり、食育を意識することはママ・パパの大切な役割だといえますね」(細川さん)

離乳食を始める時期の赤ちゃんは、指先を使えるようになったり、観察力が発達したりとあらゆる面で成長しています。まだ言葉を話せなくても簡単な意思表示ならできるようになり、コミュニケーション力もどんどん身についてきます。そんなわが子の成長を食生活の面からも応援していけるように、ママ・パパは離乳食について理解を深めたいものですね。

 

お口の状態に合った離乳食をあげましょう

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離乳食は、おっぱいやミルク以外の汁ものをなめたり、ペースト状のものを飲み込んだりすることから始めます。その後赤ちゃんは、柔らかい食べ物をお口の中でつぶすことができるようになり、そのうち噛んで小さくして「食べる」ということを少しずつ覚えていきます。

「離乳食は赤ちゃんの歯やお口の発達を見ながらすすめていきましょう。乳歯が生える時期が赤ちゃんによって違うように、お口の機能の発達も一人ひとり違います。月齢ではなく、乳歯がどれくらい生えたか、噛み合わせはできているか、お口の周りの骨や筋肉の発育状態はどうかなど、赤ちゃんのお口の状態(口腔環境)を見きわめて、離乳食の進め方を考えましょう。まだ上手に飲み込めない赤ちゃんに、お口の中でつぶせないものばかりをあげると、いつまでも飲み込まない癖がついたり、逆に急かして食べさせたりすると、噛まずに飲み込んでしまう子になったりと、食習慣上の問題につながりがちです」(細川さん)

離乳食が思うように進まないと悩むママ・パパは多い、と細川さんはいいます。そんな時は、硬さや大きさ、与え方を見直すと解決することもあるようです。
そこで細川さんのお話をもとに、赤ちゃんの口腔環境の発達と食べ物についてまとめたのが以下の表です。

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おおよそ1歳半ぐらいで、「ぱくぱく期」が完了すると、幼児食へと移行します。幼児食では、ほとんど大人と同じような食品を食べますが、それでもまだ食べにくい食品、食べられない食品はあります。ママ・パパは調理方法の工夫や、それが無理な場合は与えないなどの配慮が必要なようです。

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赤ちゃんの味覚はデリケート やさしい味が基本です

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視覚、聴覚などと並ぶ人間の五感の一つに味覚があります。味覚の基本となるのは、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の五つの味。食物の中にどんな成分が含まれているかは、それらの味を感じることで知ることができるそうです。

「甘味は炭水化物などのエネルギー源が含まれていることを伝えます。塩味はカルシウムなどのミネラルが含まれているシグナルで、うま味は体をつくるたんぱく質を含んでいるシグナルになります。いかに命の存続にとって栄養が大切かを物語っていますね。赤ちゃんは、五つの味が意味するものを生存本能として知っていると言われています。そのため酸味は腐ったもの、苦味は毒として認知するので苦手なんです」(細川さん)

離乳食期の赤ちゃんには、砂糖や脂肪の快楽を覚えさせる前に、魚介類やキノコ類のうま味がとくに強い食材を与えてうま味をしっかり教えることが、大きくなってからの生活習慣病の予防につながる、と細川さん。そんな細川さんがおすすめするのは「カツオだし」です。カツオ節は赤ちゃんに不足しやすいヒスチジンというアミノ酸が豊富なだけでなく、DHAという脳神経や視力の発育を助ける脂肪酸を含んでいて、うま味が強く、食事の満足感を高める作用があるそうです。

「うま味の強い食材は、調味料をいれなくても美味しいんです。『白身魚で煮込むリゾット』や『鶏肉の野菜スープ』など。そういう意味で素材の味を生かした和食は理想的な離乳食になります。うま味のあるやさしい味に慣れていれば、塩分や糖分を取りすぎることもありません。フライドポテトやジュースなどを小さい頃から頻繁に食べていると、糖質・脂質を過剰に摂ることにつながりますし、将来の体型や健康を左右する味覚にも影響を与えると言われていますから、注意が必要です」(細川さん)

食感や舌ざわり、温度、におい、彩りも食べ物の美味しさを左右するものですね。

「赤ちゃんが好む味でも、ペットリお口に張り付いたり、お口に入れてパサパサ、ザラザラするのでは、上手に食べられなくて苦手になってしまうかも知れません。食べやすく工夫したものを彩りよく盛り付けたり、美味しそうな匂いが立つように火を通すと、食欲増進につながるようです」と細川さんはアドバイスします。

料理が苦手なママは困ってしまいそうですが、心配はいりません。現在、ミキハウス「出産準備サイト」では、細川さんの「離乳食がわかる動画」を公開しています。この記事の最後にご案内がありますから、覗いてみてください。

 

家族で囲む食卓は、赤ちゃんの心を育てます

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食事が日々の楽しみの一つというママ・パパもいるのではないでしょうか。親しい人と一緒にリラックスして食べる時間はなおさら幸せですね。赤ちゃんの情緒を安定させ、コミュニケーション能力を育てるためにも、ママ・パパと楽しく食事をすることは欠かせないもののようです。

「家族でワイワイ食べる楽しい食事は、唾液分泌を促して消化吸収を高め、セロトニンやドーパミンを分泌させ、モチベーションアップにつながると言われています。それは赤ちゃんも同じ。ママ・パパと一緒に食事をする時間って、ただ食べものを口に運んでいるだけではなくて、食卓をはさんで密接に向き合う貴重な時間ですよね。食事は人とのコミュニケーションを円滑にする“共感力”を育む大切な時間でもあります。

たとえば、赤ちゃんは、美味しいものを口にした時、『美味しいね』と声をかけられると、『美味しい』という言葉の意味を実感して、共感できるようになります。たった30分ぐらいの食事の時間に、赤ちゃんはいろいろな事を学習しているんです。しかも食事は毎日のことですから、体験する回数がすごく多い。赤ちゃんにとっては何より身近で楽しい学びの時間と言えます」(細川さん)

そう話してくれた細川さんの気がかりは、核家族化が進み、働くママが増えている現在、家族が揃って食卓に向かう時間が減少しつつあるということ。

「かくいう私も働くママとして一人でできることの限界を感じています。ママが一人で離乳食を手作りして、赤ちゃんに与えながら語りかけを心がけるのは、とても大変なこと。だからこそパパの協力は不可欠です。赤ちゃんは月齢を重ねるごとに発語も増え、一生懸命何かをママ・パパに伝えようとします。赤ちゃんの感情に寄り添い、共感することはパパにもできますよね。食を通じて、自分が食べる野菜や肉の命をいただいているんだということを教えてあげられれば、食べることへの感謝の気持ちも芽生えると思います。ママとパパやご家族が一緒に取り組んで、赤ちゃんとの食事の時間を有意義で楽しいものにしてくださいね」(細川さん)

仕事に子育てにと多忙な生活を送る細川さん自身も、愛娘の食事は多めに作って2~3回分を冷凍しておいたり、離乳食に大人用の食材を加えてパパ向けにアレンジしたりと、いろいろな工夫でわが子の離乳食を手作りしてきたそうです。

「赤ちゃんは、与えられた食べ物しか経験することはできません。家庭の食事の時間を赤ちゃんの体と心を育む楽しい時間(思い出)にするかどうかは、ママ・パパ次第です。『食物を育てる・作る』を含む、幼いころからの“食体験”は、心身の健康や育脳の基本といっても過言ではありません。ママ・パパは、食事の時間を通じて驚くほど多くのことを体得しているわが子の発達を支え、共に囲む食卓がどんな意味を持つのかを知っていただき、できるだけいろいろな食べ物を経験できるようにしてあげて欲しいなと思います。日本には、お正月にはおせち、ひな祭りにちらし寿司、端午の節句にかしわ餅と風習にまつわる食文化が数多くあります。そういう日本独自の風習も積極的に取り入れて、家族で楽しむと幅広い食体験ができるのではないかと思います」(細川さん)

いかがでしたでしょうか。離乳食は、ただ単に大人の食事に慣れるためのトレーニングというだけでなく、多様な食の体験を通じて、赤ちゃんの体だけでなく、心や知性も育てていく大切な役割を担っているんですね。

大切なことはわかったけど、離乳食づくりに不安を感じている方も少なくないと思います。そんな方にぜひご覧いただきたいのが、細川さんが監修した「離乳食がわかる動画」。こちらの動画では細川さんが、現役ママならではの、愛情のこもったカンタン離乳食を紹介しています。こちらの動作をご覧になって、わが子の「食育」に取り組んでみませんか。

◆関連動画
「【離乳食が分かる動画】赤ちゃんの『育脳』子どもの脳を健やかに育むには」
https://baby.mikihouse.co.jp/information/post-8187.html

 

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【プロフィール】
細川モモ
・予防医療コンサルタント
・社団法人ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事
・2011~2015ミス・ユニバース・ジャパン オフィシャルトレーナー
――――――
両親のガン闘病をきっかけに予防医学に関心を持ち、渡米。International Nutrition Supplement Adviser.の資格を取得後、健康食品会社の開発部に所属。以来10年間を欧米の疾病予防リサーチと勉強に充て、2009年の春に予防医療のプロフェッショナルチーム「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を日本とニューヨークに結成。(株)タニタとともに5年間にわたり世界一の美女候補の身体づくりをサポートするなど、美と食と健康について探究。2011年より女子栄養大学の研究者の方々とともに「卵巣年齢共同研究PJ」「高崎妊婦栄養研究PJ」など、女性と次世代の健康に関する共同研究を複数手がけ、国際学会への参加並びに論文発表を精力的に行う。2014年に三菱地所(株)とともに働く女性の健康支援の一環として「まるのうち保健室」をオープンし、「働き女子1000名白書」を発表。数々の試みがNHK「クローズアップ現代」、農林水産省「食育白書」、NHK world、日経新聞などに取り上げられる。厚生労働省データヘルス見本市2015にて、“健康づくりのプロ”として講演。
現在は一児の母として母子健康向上PJを立ち上げ、「おやこ保健室」を全国展開すると共に日経DUALやPre-mo(プレモ)にて子育てレシピエッセイを執筆中。離乳食などの食生活を公開しているSNSが人気。

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『成功する子は食べ物が9割』(主婦の友社)
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多くの親御さんが「このままでいいのかな」と疑問や不安に思っている子どもの食事。見開き写真で一目瞭然な3歳〜12歳までの献立の適正量や塩分や糖分についてなど、子どもの食事にまつわるハテナが解消される一冊です。

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