細川モモさんに教わる 離乳食と食育の深い関係

2017.12.28

ミキハウス編集部

家族で囲む食卓は、赤ちゃんの心を育てます

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食事が日々の楽しみの一つというママ・パパもいるのではないでしょうか。親しい人と一緒にリラックスして食べる時間はなおさら幸せですね。赤ちゃんの情緒を安定させ、コミュニケーション能力を育てるためにも、ママ・パパと楽しく食事をすることは欠かせないもののようです。

「家族でワイワイ食べる楽しい食事は、唾液分泌を促して消化吸収を高め、セロトニンやドーパミンを分泌させ、モチベーションアップにつながると言われています。それは赤ちゃんも同じ。ママ・パパと一緒に食事をする時間って、ただ食べものを口に運んでいるだけではなくて、食卓をはさんで密接に向き合う貴重な時間ですよね。食事は人とのコミュニケーションを円滑にする“共感力”を育む大切な時間でもあります。

たとえば、赤ちゃんは、美味しいものを口にした時、『美味しいね』と声をかけられると、『美味しい』という言葉の意味を実感して、共感できるようになります。たった30分ぐらいの食事の時間に、赤ちゃんはいろいろな事を学習しているんです。しかも食事は毎日のことですから、体験する回数がすごく多い。赤ちゃんにとっては何より身近で楽しい学びの時間と言えます」(細川さん)

そう話してくれた細川さんの気がかりは、核家族化が進み、働くママが増えている現在、家族が揃って食卓に向かう時間が減少しつつあるということ。

「かくいう私も働くママとして一人でできることの限界を感じています。ママが一人で離乳食を手作りして、赤ちゃんに与えながら語りかけを心がけるのは、とても大変なこと。だからこそパパの協力は不可欠です。赤ちゃんは月齢を重ねるごとに発語も増え、一生懸命何かをママ・パパに伝えようとします。赤ちゃんの感情に寄り添い、共感することはパパにもできますよね。食を通じて、自分が食べる野菜や肉の命をいただいているんだということを教えてあげられれば、食べることへの感謝の気持ちも芽生えると思います。ママとパパやご家族が一緒に取り組んで、赤ちゃんとの食事の時間を有意義で楽しいものにしてくださいね」(細川さん)

仕事に子育てにと多忙な生活を送る細川さん自身も、愛娘の食事は多めに作って2~3回分を冷凍しておいたり、離乳食に大人用の食材を加えてパパ向けにアレンジしたりと、いろいろな工夫でわが子の離乳食を手作りしてきたそうです。

「赤ちゃんは、与えられた食べ物しか経験することはできません。家庭の食事の時間を赤ちゃんの体と心を育む楽しい時間(思い出)にするかどうかは、ママ・パパ次第です。『食物を育てる・作る』を含む、幼いころからの“食体験”は、心身の健康や育脳の基本といっても過言ではありません。ママ・パパは、食事の時間を通じて驚くほど多くのことを体得しているわが子の発達を支え、共に囲む食卓がどんな意味を持つのかを知っていただき、できるだけいろいろな食べ物を経験できるようにしてあげて欲しいなと思います。日本には、お正月にはおせち、ひな祭りにちらし寿司、端午の節句にかしわ餅と風習にまつわる食文化が数多くあります。そういう日本独自の風習も積極的に取り入れて、家族で楽しむと幅広い食体験ができるのではないかと思います」(細川さん)

いかがでしたでしょうか。離乳食は、ただ単に大人の食事に慣れるためのトレーニングというだけでなく、多様な食の体験を通じて、赤ちゃんの体だけでなく、心や知性も育てていく大切な役割を担っているんですね。

大切なことはわかったけど、離乳食づくりに不安を感じている方も少なくないと思います。そんな方にぜひご覧いただきたいのが、細川さんが監修した「離乳食がわかる動画」。こちらの動画では細川さんが、現役ママならではの、愛情のこもったカンタン離乳食を紹介しています。こちらの動作をご覧になって、わが子の「食育」に取り組んでみませんか。

◆関連動画
「【離乳食が分かる動画】赤ちゃんの『育脳』子どもの脳を健やかに育むには」
https://baby.mikihouse.co.jp/information/post-8187.html

 

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【プロフィール】
細川モモ
・予防医療コンサルタント
・社団法人ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事
・2011~2015ミス・ユニバース・ジャパン オフィシャルトレーナー
――――――
両親のガン闘病をきっかけに予防医学に関心を持ち、渡米。International Nutrition Supplement Adviser.の資格を取得後、健康食品会社の開発部に所属。以来10年間を欧米の疾病予防リサーチと勉強に充て、2009年の春に予防医療のプロフェッショナルチーム「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を日本とニューヨークに結成。(株)タニタとともに5年間にわたり世界一の美女候補の身体づくりをサポートするなど、美と食と健康について探究。2011年より女子栄養大学の研究者の方々とともに「卵巣年齢共同研究PJ」「高崎妊婦栄養研究PJ」など、女性と次世代の健康に関する共同研究を複数手がけ、国際学会への参加並びに論文発表を精力的に行う。2014年に三菱地所(株)とともに働く女性の健康支援の一環として「まるのうち保健室」をオープンし、「働き女子1000名白書」を発表。数々の試みがNHK「クローズアップ現代」、農林水産省「食育白書」、NHK world、日経新聞などに取り上げられる。厚生労働省データヘルス見本市2015にて、“健康づくりのプロ”として講演。
現在は一児の母として母子健康向上PJを立ち上げ、「おやこ保健室」を全国展開すると共に日経DUALやPre-mo(プレモ)にて子育てレシピエッセイを執筆中。離乳食などの食生活を公開しているSNSが人気。

細川さんの新刊
『成功する子は食べ物が9割』(主婦の友社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4074275899/ref=tsm_1_fb_lk

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多くの親御さんが「このままでいいのかな」と疑問や不安に思っている子どもの食事。見開き写真で一目瞭然な3歳〜12歳までの献立の適正量や塩分や糖分についてなど、子どもの食事にまつわるハテナが解消される一冊です。

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