丈夫で健康な歯を持つことの大切さは大人なら誰でも知っています。ママ・パパが小さなころから正しいケアを習慣にしてあげることができれば、わが子が大人になってから歯のトラブルで悩むことが少なくなるかも知れません。
今回、お話を伺ったのは日本大学歯学部小児歯科の石山未紗先生。石山先生は2歳のお子さんを育てながら、歯科医師としても活躍なさっています。先生の現役ママとしての実感のこもったコメントやアドバイスから、赤ちゃんの歯について学んでいきましょう。
噛むことは、口周りの筋肉や骨の発達を促します
妊娠7週目ぐらいの胎児期からできはじめる乳歯。生後半年ぐらいはまだ歯茎の中にあって見えませんが、離乳食が始まった頃、小さな白い歯が少しずつ出てきます。赤ちゃんが離乳食に慣れてモグモグとお口を動かすようになったら、揃い始めた前歯で柔らかい物を噛んでつぶすこともできるようになるでしょう。
石山先生によると「乳歯の生え方は個人差が大きいのですが、まず下の前歯が2本、その後に上に2本生えてくる子が多いようです。だいたい1歳で上下4本、3歳までには20本の乳歯が生えそろうことになります」とのこと。
離乳食が始まる前の赤ちゃんの口の中は容積が小さく、あごも舌も未発達です。“噛む”という行為を繰り返すうちに、口周りの骨や筋肉などが鍛えられ、成長とともに口腔内の容積も大きくなって口や舌を自由に動かせるようになります。食べたり、話したりする能力はこうして培われていくのです。
歯や口は体に栄養を取り入れ、言葉でコミュニケーションするための器官ですから、その発達は赤ちゃんの心身の成長にも大きく関わりそうです。それでは虫歯になる赤ちゃんとならない赤ちゃんの違いはどこで生まれてくるのでしょうか。次の章では、赤ちゃんの虫歯の原因を学んでいきます。