乳歯にも虫歯ができる?
小児歯科医が教える赤ちゃんのお口のお手入れ方法
〜赤ちゃんの口腔環境(前編)〜

2019.05.14

ミキハウス編集部

赤ちゃんの歯が虫歯になる原因

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大人に比べてエナメル質が弱く、柔らかくて虫歯になりやすいのが赤ちゃんの歯の特徴だそう。生まれたばかりの赤ちゃんは虫歯の原因となる菌は持っていませんが、お世話をするママ・パパから感染することもあると言われています

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そのためママ・パパは「赤ちゃんとスプーンやコップなどを分けること」「口移しをしないこと」を指導されますが、石山先生は「赤ちゃんに虫歯菌を移さないように心がけることは必要ですが、神経質になりすぎないように」とおっしゃいます。

「絶対に虫歯菌を移してはいけないと、口を近づけることさえしないママもいるようですが、そのためにスキンシップが減ってしまっては赤ちゃんがかわいそう。外出する機会が増えれば、どこで菌をもらうかは正直わかりません。例えばお外で食事をすれば、調理中に食べ物に菌が混入することだってあります。だからって家から一歩も出ないという訳にもいかないですよね。なので、そこまで神経質になる必要はないと思います。結局、ママ・パパだけが頑張っても無菌を保つのは難しいんです」(石山先生)

赤ちゃんが生まれるまでにママ・パパが歯の治療をすませて、毎日丁寧にケアしていれば、虫歯菌を移す心配も減るそうです。

一方、先生の気がかりは、最近卒乳を急がないママが増えたこと。

「母乳をなかなかやめられないとか、飲ませながら寝かせるのが習慣になっている場合は、歯に母乳が付着しているような状態が続くわけですから、乳歯が弱くなってしまいます。それに加えて離乳食についていた菌で虫歯になってしまうこともあるんです」(石山先生)

母乳が原因の虫歯は、歯の裏側にできることが多いとか。普段は見えない場所なので、1歳半の歯科検診などで見つかってびっくりするママもいるそうです。歯がしっかり生えた以降も母乳を与えている場合は、そんな部分も気をつけて仕上げみがきをしてあげたいものですね。

「ごくまれに1歳半ぐらいのお子さんでも、虫歯がひどくなって神経まで菌に侵されていることもあります」と石山先生。そういう時は大人と同じように麻酔をして神経を取る治療を行う必要があるとか。

「ただ、乳歯の神経を取っても永久歯に影響することは少ないです。勘違いをされている方もいらっしゃいますが、乳歯と永久歯は別物ですからね。でも乳歯の神経の根の炎症が大きすぎたりすると、永久歯の色や形が変わってしまうこともありますので、そのうち抜ける乳歯だからと放置しないで治療をしていただきたいと思います」(石山先生)

また、赤ちゃんでも歯茎が腫れる「歯肉炎」になってしまうこともあります。赤ちゃんが歯肉炎になるなんて、ちょっと驚きですが……。

「普通にありますよ。大人の歯茎の腫れは、歯槽膿漏の疑いがありますが、子どもの歯肉炎は単なる歯茎の炎症です。ですから、ちゃんと磨いて汚れが取れればすぐに治るのでご安心ください」(石山先生)

次のページ きちんと磨く習慣はママ・パパのお手本から

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