指しゃぶりや爪噛みなど、なかなか治らないくせには、精神的な要因があると石山先生は言います。
「例えば断乳は赤ちゃんにとっては大きな変化。そのときのストレスから、指しゃぶりを止められなくなってしまう子がいたとしても不思議ではありません」(石山先生)
またママ・パパとすごす時間が楽しい時期に保育園や幼稚園に行くようになると、新しい環境へのストレスから爪噛みを始める子もいるそうです。何とかやめさせても、ちょっとしたことがきっかけになって、また始まってしまうことも。
「くせを直すにはまずは子どもの心が安定することが一番ではないかと思います。3歳ぐらいになれば、言葉の意味をよく理解するようになるし、少しずつ言い聞かせると直ってくる子どもさんもいます」(石山先生)
「やめなさい!」と言うだけでは、くせを直すのは難しいということ。それよりもくせが出なくなるように仕向けてあげるのも必要なようです。
「砂場遊びや粘土など手を使った遊びを多くするのも効果があります。その間は指や爪をお口に入れなくなるし、くせを忘れるほど夢中になって遊ぶ時間があると、少しずつ頻度が減っていくことも多いんです」(石山先生)
成長期の子どもたちはくせが直るだけで、歯並びや噛み合わせも自然と治ることが少なくないそうです。
「早めにくせを直さなければいけない、どうも自然に治りそうもないな、という場合は矯正器具を使うこともありますが、普通はそういった治療は3歳すぎのお子さんが対象です」(石山先生)
わが子の日頃の様子から、歯並びや噛み合わせに影響しそうなくせを早めに見つけて直せるのは、ママ・パパなのかも知れませんね。きれいに揃った丈夫な歯は一生の宝物。小さなうちから歯のケアや歯並びについて気をつけてあげたいですね。
乳歯が生えてくる前のお子さんには、呼応した「歯がためのグッズ」を用意しておくといいでしょう
【プロフィール】
石山未紗(いしやま みさ)
日本大学歯学部付属歯科病院小児歯科 歯科医師/日本小児歯科学会専門医。出産後、しばらく育休を取得し、現場に復帰。現役ママとして子育てを頑張りつつ、歯科医師としても活躍中。大学病院での業務は診療のほか、教育・研究と多岐にわたる。