待ちに待った夏休み! 赤ちゃんと一緒に家族旅行を楽しみたいと考えているママ・パパは多いでしょう。でも「移動中の乗り物の中で赤ちゃんが機嫌よくすごしてくれるかな」とちょっぴり心配していませんか? そこで今回は知っておくと安心な乗り物酔いのメカニズムとその対処法について教えていただきます。
お話を伺ったのは、キャップスクリニック武蔵小杉の院長で小児科専門医の橋本興人先生です。
乗り物酔いは幼児期から学童期に多く発症します
ママ・パパの中にも子どもの頃に乗り物酔いで苦しんだことがある人はいるのではないでしょうか。せっかくの旅行や遠足を楽しみにしているのに、どうして気分が悪くなってしまうのでしょう? 乗り物酔いのメカニズムについて、橋本先生はこう教えてくださいます。
「揺れる乗り物に乗っていると、人の体の平行感覚、バランス感覚が乱れます。また体が常に揺れている状態では、近くのものに目の焦点を合わせることが難しくなります。そのため視覚からの情報に乱れを感じたり、加えて乗り物特有の匂いに嗅覚が反応することもあります。これらは脳を感覚混乱という状態にして、乗り物酔いを引き起こすと言われています」(橋本先生)
脳の機能が乱れると、体の活動を調整している自律神経に不調が現れ、吐き気、嘔吐、あくびなどの症状が出ます。「乗り物に乗るたびにこうした症状が現れるなら、乗り物酔いと考えていいと思います。一度経験すると、また気分が悪くなるのではないかと不安になって、症状がますます強くなることもあります」と橋本先生。また、車には酔うけれど、船は平気、もしくはその逆というケースもあるそう。
ちなみに乗り物酔いは、脳が発達を始める2歳ぐらいから見られるようになり、4、5歳では約1割、その後の学童期では約3割が発症すると言われています。ただ成長するにつれて、いろいろな経験を積んで様々な感覚の乱れに脳が対応することが出来るようになり、症状が出にくくなるのも乗り物酔いの特徴です。