現在の医学界では「赤ちゃんは、乗り物酔いはしない」という考え方が一般的。その考えについて橋本先生はこう付け加えます。
「脳の機能が未発達なので、感覚混乱は起きづらいというのがその理由だと考えられます。一方で高齢者は脳の感覚機能が落ちてくるために、感覚混乱が起きづらく、乗り物酔いが起きにくいとも言われています。なお、『ベビーシートに寝かせていたら、赤ちゃんが車の中で吐いてしまった』というケースもあるかと思いますが、これはおそらく乗り物酔いではないでしょう。そもそも生後5か月ぐらいの赤ちゃんの胃は逆流しやすい形で吐きやすいもの。たとえば乗車前や乗車中にお腹いっぱいおっぱいやミルクを飲ませた上で、ベビーシートでずっと横になったまま体が揺れている状態では、車酔いとは関係なく吐いてしまいます。また乗り物酔いなら、顔色が悪くなったり、生あくびをしたりと嘔吐以外の症状も現れるのが特徴です」(橋本先生)
それでは乗り物酔いにならないためには、どのような対策をしたらよいのでしょうか? 自らもふたりのお嬢さんを育てる先生は「赤ちゃんの場合、とにかく移動中にできるだけ快適にすごせるように工夫してあげるといいでしょう」とアドバイスしてくださいます。たとえば、脱ぎ着のしやすい服を着せ、ベビーシートに座っていても暑くないように車内の温度を調節して、体感温度を心地よく保てるようにすることや、長時間の移動の場合にはオムツ交換のタイミングが長くなってしまいがちなので、不快にならないようこまめにオムツを変えることなどが大切とのこと。
言葉で訴えることはできない赤ちゃんは、泣いてママ・パパに不快感を知らせます。あやしても泣き止まないなら、授乳の時間、オムツや服の着せ方などをチェックしてみましょう。またベビーシートに熱がこもりにくいように背中にタオルを挟んだり、赤ちゃんが好きな音楽や気分転換になりそうなおもちゃを用意しておくと役に立つかも知れませんね。