Tさん:保育園が休園になって、家でずっと子どもの世話をするのは確かに大変でしたが、夫の在宅勤務が始まったら、平日でも3度の食事を家族一緒に食べられるようになったのは嬉しいことでした。日々成長する子どもの様子を夫と喜び合える時間も増えて、家族の絆が強まったという思いもあります。
Fさん:うちも同じで、夫は職場まで片道2時間ぐらいかかるので、朝は早く出るし、帰りも遅いんです。そのためにこれまで平日にご飯を一緒に食べることは不可能でした。だから在宅勤務の間は3食一緒に食べるのがすごく新鮮で楽しかった。私は今、育休中ですが、振り返ってみると、働いている時はいつも時間に追われてバタバタしていたし、下の子が生まれた後はふたりの子どもの世話に夢中で、慌ただしくすごしていたような気がしています。4歳の上の子は保育園の休園で一緒にいる時間が長くなってから、ひらがなに興味を持って読んだり、書いたりできるようになりました。夫か私のどちらかが集中して遊んであげる時間をとることで、子どもたちが今、何に興味があるのか分かったり、日々の成長を目の当たりにできました。これからはもう少し余裕を持って暮らしたいなと考えたりしました。
Jさん:4月に緊急事態宣言が出た時に、「コロナ危機は長期化するだろうから、この生活が半年近く続くなら、子どもたちのために働き方を根本的に変えなくてはいけないかも」と漠然と考えたのですが、実際に経験してみて多くの事に気づきました。これまでは頑張って働くことに価値があると考えてしまいがちでしたから、無理していると分かっていても仕事先にまめに足を運ぶのは当たり前だったんですね。今回完全リモートにしてみたら、正直あんまり仕事が減ったわけでもなくて。これはちょっと想定外で、その気になれば働き方は変えられるのでは思ったりしています
T:Jさんのように今回の経験で働き方を変えてみようと考えたママ・パパは増えているかもしれません。新しい働き方が社会になじんでいくと、仕事にしても子育てにしても選択肢が増えていくので、ママ・パパにとってはよいことだと思います。
Jさん:そう。例えば今日ですけど、このリモート取材は朝9時半からはじまるというので、9時に洗濯を始めて、それでもまだあと5分あると思って、ゴミを捨ててからパソコンの前に座ったんです。今までは出社する時は全部放置して出ていくものでしたから、夕方仕事から帰った私をゴミと朝の食器が待っているという現実がありました。リモートワークでそれがなくなって、家事のストレスからも解放れていますね。
Tさん:これまでは会社員なら週5日働くとかが社会通念としてあったけれど、コロナ禍の中でそれが微妙に崩れたような気がしています。アフターコロナの社会は、働き方や会社の制度も変わっていくのではないでしょうか。うまく行けば、働くママ・パパだけではなくて、家族の介護をしなくてはいけないとか、他の事情がある人にとっても働きやすい世の中になっていくのではないかと期待しています。