“ひとが生まれ育つということ” について考えた
2017年3月1日。出産準備サイトにて始まった連載「高橋たかお先生のなんでも相談室」。35年以上、小児科医として多くの子どもやママ・パパと向き合ってきた高橋先生に、様々な悩みや疑問を相談する本企画はたちまち評判を呼び、翌18年9月には『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』(マガジンハウス)を出版するに至りました。それから2年弱。ついに書籍第2弾として、当連載を再編集した『子どものチカラを信じましょう』(マガジンハウス)がリリースされます。そこで今回は、出版を記念して高橋先生にお話をお聞きしました!
――『子どものチカラを信じましょう』は出産準備サイトの当連載をもとに再編集されたものですね。この3年間でさまざまなお悩みを相談してきましたが、ずばりこの本は、どんな方に読んでほしい1冊となっていますでしょうか?
高橋先生 あとがきにも書かせて頂きましたが、若い方々にこの本を読んで頂きたいと思っています。自分はどのような思いで育てられ、教育され、今ここにいるのか。それらに気づくことによって、これからの生き方が少し違って見えてくるかもしれないからです。そして、お子さんがいない方、子育てを終えられた方にも是非、読んで頂きたいです。小児科医の視点で、“ひとが生まれ育つということ”について、まじめに考え尽くしました。「幸せに生きるためのチカラ」とは何か、感じ取って頂けると思います。
――前作『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』との違い、もしくは変わらないところについて教えてください。変わらないところは、高橋先生がずっと大切にしている部分、コアの部分だと思いますので、そこだけでも結構です。
高橋先生 コアの部分ですか…。それはおそらく「子どもたちはみな、遺伝子のシナリオに守られて育つ」と言う視点だと思います。「生まれつきのこと、遺伝子で決まっていることは努力しても無駄」という思い込みは意外に根強いものです。「生まれつきの欠点は取り返しのつかないこと、だから遺伝子の話はタブー」という誤解を解きたいと思いました。
――なるほど。そのコアの部分は、連載3回目で配信した「胎教、早期教育…子ども時代の『環境要因‐教育』について」で特に強調してお話をされておりますね。同記事の反響はかなりのもので、これをきっかけに先生の“人気”も高まりましたが、一方でその記事について「生まれつきのこと、遺伝子で決まっていることは努力しても無駄」と読んでしまわれたかたも少なくないようです。そうした誤解を解かれたいということですね。
高橋先生 はい。そこで今回は、問答形式で具体的に育児のポイントを整理し、その各々について、「大丈夫なものは大丈夫」と太鼓判を押すということに挑戦しました。特別なことなど何もしなくて大丈夫! 時間はたっぷりあるから慌てなくて大丈夫! 大丈夫なものは大丈夫とはっきり強く言ってあげたい、という強い思いがあります。