【専門医監修】早期発見するには? なぜ30代から急増?
知っておきたい「乳がん」の基礎知識

ミキハウス編集部

早期に発見できるかどうかが、治療効果を大きく左右します

I:ところで、乳がんにはどんな種類があるのでしょうか?

才田先生:大きく分けると「浸潤(しんじゅん)がん」と「非浸潤(ひしんじゅん)がん」があります。乳管のなかの小さい範囲にとどまっているがんが非浸潤がんで、ステージ0の状態です。

I:非浸潤がんは比較的軽いがんだと。では浸潤がんは?

才田先生:浸潤がんは、乳管や乳腺小葉の組織から悪性の細胞が少しずつ飛び出して、周囲に広がっている状態をいいます。浸潤がんになると、乳房の周りにあるリンパ節とか、もっと進行すると他の臓器に転移する可能性を持つがんになってしまいます。

乳がんの進行

I:乳がんと診断される人のうち、非浸潤がんと浸潤がんの割合は、どれくらいなのでしょう。

才田先生:最近のデータでは、非浸潤がんの状態で見つかる患者さんは20%以下という数字があります。非浸潤がんであれば、手術によってほぼ根治が可能ですが、浸潤がんの場合は大きさにもよりますが、追加の治療が必要になることが多く、ステージが進むにつれて再発率も上がります。手術が順調に終わっても、乳がんのタイプによっては最低でも5年間は薬を飲み続けなくてはいけないし、その後10年は再発をしていないか定期的に診察を行う必要があります。

I:万が一、乳がんができるとして、非浸潤がんのうちに見つけるためにはどうしたらいいのでしょう。

才田先生:乳がん検診を受けることですね。たとえ浸潤がんになっていても、小さいうちに見つけて適切に治療すれば、病気の転移や再発を防ぐことができる場合が多いので、少しでも早く発見することが大切です。

I:早期発見のためには、検診を受けるべきなんですね。

才田先生:2019年の日本における乳がん検診率は、40~69歳の女性で47.4%(※3)ですが、欧米では70~80%(※4)です。中でも受診率が80%を超える米国では、非浸潤がんのうちに見つかる人は25%前後と言われています。日本は20%以下と先ほどいいましたが、少しずつ米国に近づいているというところです。

I:マンモグラフィー検査で、「石灰化の疑いがある」という結果が出たと心配していた友人がいましたが、石灰化とは非浸潤がんのことなのですか?

才田先生:乳がん検診で石灰化というのは、乳腺の中にカルシウムが沈着した状態のことです。石灰化には良性のものもあるので、必ずしも乳がんを発症しているということではありません。おおよその基準ですが、石灰化の形がいびつだったり、石灰化が局所的に集まっている場合などは精密検査をおすすめしています。もし石灰化という検診結果が出たら、ご自分で判断せずに医療機関で相談した方がいいでしょう。

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