【専門医監修】早期発見するには? なぜ30代から急増?
知っておきたい「乳がん」の基礎知識

ミキハウス編集部

発症リスクを高めるのは女性ホルモンと生活習慣、それに遺伝です

I:乳がん患者がこれだけ増加傾向にある理由はわかっているのでしょうか。

才田先生:乳がんの発症には、女性ホルモンのエストロゲンが大きく関与しているといわれています。思春期に盛んになるエストロゲンの分泌は、妊娠や出産、授乳の時期には減少するんです。昔の日本女性は20代前半から子どもを何人も生むものでしたから、エストロゲンに影響されない期間が長かったために乳がんの発症率が低かったと考えられています。そして女性の社会進出が進み、それに伴い結婚が遅くなり、出産も高齢化している上に、子どもはひとりかふたりという女性が多くなっています。また昔に比べ、初経が早く始まり、閉経が遅くなっていることで、エストロゲンにさらされている期間が長くなっていることも一因と見られています。

I:子宮内膜症が増えている原因も、長期間エストロゲンにさらされていることだというお話は以前、別の取材でお聞きしていましたが、乳がんも同じなのですね。

才田先生:はい、その他にも食生活や運動習慣の欧米化も原因として考えられています。飲酒や喫煙の習慣は乳がんのリスクを高めるし、閉経後に肥満になった女性は発症しやすいというデータもあります(※2)。乳がんのリスクを下げるためには、毎日の運動習慣と体重管理、規則正しい生活が効果的です。

I:出産の年齢や子どもの数を乳がんリスクで決めるのは難しいですけれど、こうした生活習慣なら意識して変えることができます。若いうちから心がけたいですね。

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才田先生:遺伝性乳がん卵巣がん症候群と呼ばれる病気もあって、米国の女優アンジェリーナ・ジョリーさんが、遺伝的に発症リスクが高いという理由で乳房の予防切除と再建をして話題になりました。乳がんを発症する女性のうち5~10%が遺伝的な要因を持っているといわれています。2020年から日本でも、遺伝子に変異がある、乳がん未発症の患者さんに対する乳がんの予防切除手術に保険が適用されるようになりました。ご家族や近親者に乳がんが多いという方は早めに医療機関に相談して対策を考えるのもいいのではないかと思います。

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