時代や社会が変わり、(特に)女性が妊娠を考え始める年齢が上がったことで不妊がより深刻化したことは否めません。吉村先生もこう指摘します。
「一般的に女性が妊娠に適している年齢は25~35歳と言われていて、妊娠する力は35歳前後から低下しはじめ、45歳前後になると月経はあっても排卵がない人もいます。そうなると自然妊娠は望めないのです」(吉村先生)
もっとも女性だけでなく、男性も加齢とともに精巣の機能が低下し、精子運動率や精子正常形態率は下がっていきます。
「現代の生殖医療は卵子の提供を受ければ、50代の女性の妊娠も可能にしています。しかし、人間の生殖年齢には停年があることも、厳然たる事実。体外受精を受けても40歳以上の妊娠率は10%以下というデータもあります。そうしたことは、より多くの方々に認識していただきたいです」(吉村先生)
日進月歩の進歩を遂げてきた不妊治療。排卵期に性交を行うタイミング法に始まって、男性の精液を採取して洗浄して子宮に注入する人工授精、卵子と精子を受精卵にして子宮に入れる体外受精、人工的に卵子に精子を注入する顕微授精と次々と高度な医療技術が確立されてきました。保険適用を機に、こうした不妊治療はもっと身近なものになりそうですが、治療を受ける前にどれくらいの結果が期待できるのかをあらかじめ知っておくことも必要かもしれません。
続く「不妊治療の基礎知識〈part2:治療の現在地〉」では、不妊治療とは実際にどんな事が行なわれるのか、妊娠の可能性、必要になる費用などについて、吉村先生のお話を基にまとめていきます。
- <参考資料>
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※1不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30l.pdf -
※2平成27年度版厚生労働白書―人口減少社会を考える(厚生労働省/平成27年度)
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/ -
※3不妊(日本WHO協会/2020年9月)
https://japan-who.or.jp/factsheets/factsheets_type/infertility/ -
※3女と男のディクショナリー HUMAN+ (日本産科婦人科学会編著)
http://www.jsog.or.jp/public/human_plus_dictionary/book_vol2.pdf
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※1不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック(厚生労働省)