【専門医監修】妊娠期の症状・すごし方【妊娠中期編】

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妊娠期の症状・すごし方【妊娠中期編】

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妊娠14週0日~27週6日――つわりが収まり、体調が安定してくる妊娠中期。おなかの赤ちゃんの胎動を感じると、ママになる実感が強くなってきますね。そこで本記事では、慶應義塾大学名誉教授で産婦人科医の吉村泰典先生の監修のもと、妊娠中期の赤ちゃんの様子とおなかがどんどん大きくなるプレママが気をつけたいことについてまとめました。

 

からだが細部まで完成し、どんどん成長していきます

からだが細部まで完成し、どんどん成長していきます

からだの基礎が出来上がると、おなかの赤ちゃんの成長のスピードは加速します。14週0日~27週6日までの赤ちゃんの発育の様子を見ていきましょう。

■妊娠4か月後半

【妊娠14週】

体重約60~80g。臓器の基本的な形が完成。髪の毛や爪も生え始め、手や足を動かすようになります。

【妊娠15週】

栄養や酸素をもらい、老廃物や二酸化炭素を排出するための胎盤が完成します。

■妊娠5か月

【妊娠16週】

体重約150g。からだは細かい部分までほとんど完成。赤ちゃんの大きさに個人差が出てきます。

【妊娠17週】

全身にうぶ毛が生え、髪の毛やまつげ、眉毛も生えてきます。

【妊娠18週】

体重約200g。筋肉や皮下脂肪がついて、からだを反らす、首を左右に振る、手の指を握るなどの動きをするようになります。

【妊娠19週】

手足の指先に爪ができ始めます。プレママは赤ちゃんの動きを胎動として感じるようになります。

■妊娠6か月

【妊娠20週】

体重250~310g。感覚に関わる脳の中枢神経系が発達。顔立ちがはっきりしてきます。

【妊娠21週】

消化器、泌尿器などの内臓の器官が発達。骨や筋肉がしっかりして、からだの動きが大きくなります。

【妊娠22週】

体重約450g。内臓や器官がほぼ完成します。

【妊娠23週】

赤ちゃんはほとんどの時間眠ってすごしています。その8割はレム睡眠で、レム睡眠の間は赤ちゃんの脳と目は活動しています。

■妊娠7か月

【妊娠24週】

体重約600g。まぶたが完成し、まばたきができるようになります。

【妊娠25週】

目や鼻の機能も整い、ものを見ることができるようになります。からだの動きをコントロールして、羊水の中をクルクルと泳ぎ回ります。

【妊娠26週】

大きめの赤ちゃんでは体重が1kgを超えることもあります。脳では耳や目から得た情報を処理する脳波が働き始めます。味覚や嗅覚も発達してきます。

【妊娠27週】

目が完成して、光の明暗を感じるようになります。睡眠と覚醒を約20分間隔で繰り返していると言われています。

妊娠中期に起こりやすい貧血、便秘、おなかの張りなどについて

妊娠中期に起こりやすい貧血、便秘、おなかの張りなどについて

ほとんどのプレママは妊娠15週頃になるとホルモンの状態が安定して、つわりが収まります。乳腺も発達し、おなかの膨らみが目立ってくる時期です。この時期に起こりやすい代表的な症状をまとめました。

 

◆貧血

貧血

妊娠中の動悸やめまい、頭痛、立ちくらみの原因として、鉄欠乏性貧血があります。赤ちゃんの発育に欠かせない酸素や栄養を運ぶプレママの血液は、妊娠成立直後から徐々に増えていますが、赤ちゃんのからだが完成し、子宮が大きくなっていく妊娠中期には急激に増加します。鉄分が不足し、血液の増加に赤血球の増えるスピードが追いつかないと血液が薄くなって貧血を起こしてしまうのです。

レバー、ほうれん草など鉄分の多い食事は大切ですが、レバーなどからビタミンAを過剰に摂取すると赤ちゃんの発育に影響がある(※1)と言われていますから、鉄分だけを気にするよりバランスの良い食事を心がけましょう。

◆便秘

便秘

妊娠中に便秘に悩むプレママは少なくありません。便秘の原因として、胎盤の形成に関わる黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で消化器の働きが抑制されること、大きくなる子宮に腸が押されることが考えられます。

便秘の予防には、生活リズムを整え、水分や食物繊維を含んだ食品を摂取し、散歩や軽い運動などでからだを動かすと効果があります。排便時にいきみすぎると肛門周囲の静脈がうっ血して痔になりやすいので気をつけましょう。

◆おなかの張り

おなかの張り

椅子に座ったりして、ずっと同じ姿勢でいると、おなかの張りを感じることがあります。これは大きくなった子宮に静脈が圧迫されて、下半身の血流の循環が悪くなったためです。

おなかの張りを感じた時は、立ち上がって姿勢を変えたり、脚を上げ下げするなど、こまめにからだを動かすように気をつけましょう。

◆腰痛

腰痛

おなかが大きくなって直立でバランスが取りにくくなってくると、背中が反り返って、腰の湾曲が大きくなります。腰や背中の痛みはこの姿勢のせいかもしれません。

腰痛の対策としては、体重増加を適正範囲内に抑え、長時間同じ姿勢を取り続けないようにすること。市販の湿布剤の中には、妊娠中は使用できない成分が含まれているものがありますから、事前にかかりつけの医師に相談してください。

◆動悸・息切れ

動悸・息切れ

妊娠中の動悸や息切れはあまり心配はいりません。普段よりゆっくりとした動作を心がけ、動悸や息切れを感じたら治るまで休みましょう。万が一、咳、むくみ、だるさなどを感じるようならかかりつけ医を受診しましょう。

◆皮膚のかゆみ

皮膚のかゆみ

皮膚のかゆみも妊娠中に起きやすい症状です。基礎代謝が上がり、ホルモンの影響で皮膚がデリケートになるためです。気になるほどのかゆみがあるなら、かかりつけ医に相談してください。

プレママとおなかの赤ちゃんの健康のために、体重管理はしっかりと

体調が落ち着く妊娠中期になると、食欲が旺盛になってつい食べすぎてしまうプレママがいるかと思えば、おなかの赤ちゃんの成長や羊水の増加などによる体重の増加が受け入れられずに食事の量を減らしてしまうプレママもいるようです。

妊娠中の太りすぎは、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの疾病につながるだけでなく、出産時にトラブルが起きやすいと言われています。最近増えているやせすぎのプレママは、赤ちゃんの発育不全や低出生体重児のリスクが高くなることが問題になっており、日本産科婦人科学会は2021年3月にプレママの体重管理についての新たな指標を発表しています。

妊娠中にどれくらいの体重増が適正なのかは、妊娠前の体格によっても違います。妊娠前のBMI(肥満度)を計算し、その値から妊娠中の体重増の目安を確認しておきましょう。

9 BMI

健やかな妊娠期をすごし、元気な赤ちゃんを産むためには、適正体重を維持することが大切です。バランスのよい食事(※2)を摂り、無理のない範囲でからだを動かし、ストレスのない楽しい毎日をすごしたいものですね。

早産の原因と兆候

早産の原因と兆候

妊娠22週以降37週未満で赤ちゃんが生まれてしまうことを「早産」と言います。早産の主な原因として、子宮内の細菌感染で起きる「絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)」や「子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)」、子宮頸管の筋力が弱い「子宮頸管無力症」、双子以上を妊娠する「多胎妊娠」などがあります。

また妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病が悪化して早産になる場合もあります。喫煙による胎児発育不全は人工早産のリスクが高くなると言われています。

早産の兆候としては、出血、おりものの変化、おなかの張りがあげられます。正常な出産には早すぎる37週未満の出血、おりものの色や量の変化、いつもと違うおなかの張りを感じたら、すぐにかかりつけ医に連絡してください。

切迫早産は早産となる危険性が高い状態のことを言います。切迫早産が疑われる場合は、安静や投薬で治療を行います。早産を予防するために、妊婦健診をきちんと受け、無理のない生活を心がけましょう。

 

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妊娠中期がすぎると、赤ちゃんの誕生まであと3か月。プレママのからだで芽生えた新しい命を守り育てる日々は、新しい驚きと感動に満ちているのではないでしょうか。

 

〈参考資料〉
(※1)妊娠3か月以内又は妊娠を希望する女性におけるビタミンA摂取の留意点等について(厚生労働省/平成7年)
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/dl/4b-1.pdf
(※2)妊婦のための食事バランスガイド(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3b02.pdf

 

dr

監修者プロフィール
吉村泰典(よしむら・やすのり)
1949年生まれ。慶應義塾大学名誉教授 産婦人科医。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。これまで2000人以上の不妊症、3000人以上の分娩など、数多くの患者の治療にあたる一方、第2次~第4次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。「一般社団法人 吉村やすのり 生命の環境研究所」を主宰。

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