僕らの世代でアップデートできる? 子育てパパ座談会(後編)

パパのがんばりで社会の意識を変えていく

編集I:ここまでみなさんのお悩みから日本のパパ育児の課題を見てきましたが、それらを踏まえてお聞きしたいのは、どうしたら日本のパパ育児はもっと前進するのか、という話です。Bさん、いかがでしょうか?

Bさん:男性の意識を変えることが前進につながるのでしょうが、それ以前の問題として男性が育児をすることへの「偏見」がなくなるといいなと思っています。妊娠・出産、さらに(母乳での)授乳はママしか出来ないし、僕らは絶対的にママには勝てない。その中で、できることをやらなければいけないことを考えると、もう家事を徹底的にがんばるしかありません。

でも食事を作っていると、傍から「料理男子だね」なんて言われちゃうじゃないですか。別に男が料理したって特別なことでもなんでもないと思うんだけど、そういう目で見られる。あと自治体や保育園に提出する書類なんかもすごく違和感がある表現が多い。たとえば「パパは育児に協力的ですか?」みたいな質問が普通にあったりするんですよ。自分の子どもに協力的もなにもないだろうと思うんですけど、なんか前提の認識がおかしくないですかってよく感じます

編集I:実態として男性で育児をしている人が少ないから、その目線にあわせた書き方になっているのかもしれません。今、みなさんのように子育てに積極的なパパも増えてきていると思うのですが、そういう方々からすれば子育てにおけるジェンダーバイアスは気になりますよね。

Cさん:男性が子育てをするようになる社会を望む一方で、個人的には妊娠・出産、子育てにより女性のキャリアが途絶えるようなことがあってはならないと強く思っています。多くの女性は出産や子育てのためにキャリアを諦めている実態は少なからずあります。

数年前に、医大入試で合格者数の女性割合を制限していた問題が発覚しました。あれは、女医さんは子育てで仕事を辞めてしまうから戦力にならないとみなされていたことが背景にあったと言われていますが、とんでもない話です。そういう不平等をなくすために必要なのは、優秀な女医さんが妊娠や出産で休んでもキャリアが継続できるようなサポート体制だろうと思いますよ。

編集I:医師に限らず、バリバリ働く女性が子どもを産み育てるという生き方を選択しづらいのは大問題ですよね。Aさんの奥さまもキャリア志向だと聞いていますが、そのあたりどのようなご意見でしょうか。

Aさん:妻の会社はすごく理解があるのですが、まだ手探りなところはあるように思います。先進的だし、組織として変わろうとしているけど、過渡期といったところでしょうか。

編集I:結局実践し得るのは意識を持った個人。つまり、まさに今の子育てをしている女性がトップランナーとして「実例」を積み上げようとしている段階ですよね。

Aさん:ですね。数年前と今では全然状況は変わっていると思います。実際僕も、仕事だけに生きがいを感じていた若い頃は、子どもが生まれたからと仕事をセーブする先輩や上司にすごく疑問を感じていたし、冷たかったんですよ。夜打ち合わせをしようとして「子どもの世話があるから、もう帰らなきゃ」って言われると、イラついてましたし。子育てが人生でこんなに大切なことだって分かっていなかったんですよね。

編集I:Aさん自身が変化したように、世の中も変わっていくといいですよね。男性の意識も変わり、職場の意識も変わり、社会の意識も変わっていく。そういう風にポジティブな連鎖が起きることを望みたいところです。

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