妊娠したけど流産を繰り返してしまう「不育症」 原因と治療法について

不育症の原因は? 治療法や予防についても

不育症の原因は? 治療法や予防についても

もし不育症の疑いがある場合、医療機関等でリスク因子の有無を調べることで次回の妊娠に役立てることもできます。ただし不育症の検査を行っても、60%以上の方は、はっきりとしたリスク因子が見つからないそうです。なぜ、見つからないのでしょうか?

その理由について、吉村先生はこう説明します。

「そもそも流産そのものが、60~80%は胎児(受精卵)の偶発的な染色体異常で起きるもので、両親のリスク因子に起因しているケースは少ない。そのため、両親の体を調べたところで原因が特定できないことが多いということです。

『偶発的』とは、文字通り明確な理由のないもの。男性も女性も健康問題がなくても、たまたま起こるケースですから調べたところで60%以上の方はリスク因子すら見つからないわけです。一方で、赤ちゃんに染色体異常がないのに流産してしまった場合は、何らかのリスク因子が存在している可能性がありますので治療することをご検討ください」(吉村先生)

妊娠したけど流産を繰返してしまう「不育症」 原因と治療法について

不育症のリスク因子がはっきりしているものの代表例としては、抗リン脂質抗体陽性、子宮形態異常、夫婦どちらかの染色体異常保因、胎児(胎芽)染色体異常などがあります。これらの検査には「染色体検査血液検査」「子宮形態検査」「内分泌検査」「絨毛染色体異常検査」「抗リン脂質抗体検査」があります。検査項目や保険適用となるかは各病院で設定しているため、検査費用は医療機関によって異なりますが、東京都福祉局のHPでは目安の金額を以下のように記載しています。

染色体検査

約2万円〜

子宮形態検査

◆子宮卵管造影検査:保険適用の場合は約6000円〜
◆超音波(エコー)検査:保険適用の場合は約1600円〜
◆子宮鏡検査:保険適用の場合は約3000円〜

内分泌検査

保険適用の場合は1項目、約2000円〜

絨毛染色体異常検査

約7万円〜

 

「こうした検査で異常が見つかった場合には、それに応じて治療等を行うことになります。たとえば子宮形態異常が見つかった場合は、手術もしくは積極的な治療をしない経過観察。手術をすべきか、経過観察とした方がいいかは、担当医と相談して決めることになるかと思います。甲状腺ホルモン分泌異常が見つかった場合、薬物を投与し、抗リン脂質抗体症候群では、抗血栓療法(アスピリン内服やヘパリン注射)を行う場合もあります。リスク因子が不明な不育症に対しては、基本は経過観察とするのが一般的です。これは治療をしなくても、比較的良好な結果が得られるためです」(吉村先生)

妊娠したけど流産を繰返してしまう「不育症」 原因と治療法について

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