「お話したとおり、言語習得が得意な遺伝子を持っているお子さんは、子どもの時から英語の勉強をやらなくても大丈夫です。いつ英語の勉強をスタートしても話せるようになります。残念ながら、そのような遺伝子を持っていない子どもの場合は、とにかく生まれた時からコツコツ、10年間続けることが重要」と池谷先生。
「算数なら1週間に1回集中してやっても効果が得られますが、語学学習の場合はとにかく毎日コツコツやることで身についていくもの。この毎日コツコツがどれだけ大変かは、みなさんおわかりのはず。ほとんどの場合、子どもたちの集中力以前に、教育する親のほうが10年間毎日コツコツと子どもの英語教育に時間を割けないのが実情です。子どもが小さい時はまだしも、小学校にあがると学校の勉強に加え、習い事や子ども自身の社会活動も増えます。1日24時間という限られた時間の中で、そこまで英語教育に割く時間がないというのが、リアルな現状でしょう」
ここで気になるのが、もし本当に10年間コツコツ英語教育を行った場合、母国語、つまり日本語の能力に問題が生じる可能性はないのか?ということ。池谷先生に伺ってみると答えは“イエス”でした。
「言語習得が得意な遺伝子を持たない子どもに、本当に10年間コツコツと英語教育を行った場合、日本語か英語どちらかの能力に偏りがでてきてしまう可能性があります。ただ、幸か不幸か10年間やり続けることは普通できないので、そうした弊害が見られるケースがほとんどないというだけの話ですね」