やすのり先生のなんでも相談室 
入院から退院まで「産婦人科」のギモン(前編)

「分娩後30分以内に母乳をあげるとよい」のはなぜですか?

Q.「分娩30分以内に母乳をあげるとよい」と聞きました。これはなぜですか?

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できる限り早く、産後1時間くらいまでに母乳を与えるのはとてもよいことです。その理由は「初乳(しょにゅう)」と大きく関わっています。

初乳とは、赤ちゃんが生まれてから3日目くらいまでに出るお乳のこと。これがとても大事なのです。なぜかというと、「免疫グロブリン」が多く含まれるから。もっと詳しくいうと、免疫グロブリンの中の「イムノグロブリンA」(IgA)と呼ばれるものです。

赤ちゃんはお母さんのお乳からもらった免疫グロブリンで、感染に対して抵抗力を作っていきます。また、初乳は脂肪と糖が少なく、たんぱく質が多いのも特徴。これらが、生後2~3日の間に出るので、赤ちゃんにぜひ与えたいのです。4日目あたりからは成乳(せいにゅう)になります。

免疫グロブリンは、生まれて1か月くらいたつと自分で作り出すことができるようになりますが、それまではお母さんのお乳からもらったものを使えるのがベストです。

では、なぜ産後すぐに母乳をあげるのがいいのか。それは、赤ちゃんがお母さんの乳首を吸うことによって、「プロラクチン」というホルモンが出てくるからです。これは、別名「催乳ホルモン」といい、お乳の出をよくする働きがあります。赤ちゃんは生まれながらに、口の中に入ってきたものを強く吸う反射、「吸てつ反射」を持っていて、これが作用し、プロラクチンの分泌を促し、母乳がどんどん出る仕組みになっているのです。うまくできているでしょ?

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