赤ちゃんの おやつ 正しいあげ方、楽しみ方

赤ちゃんの おやつ 
正しいあげ方、楽しみ方

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生後5~6か月までは、おっぱいやミルクだけで成長する赤ちゃん。やがて体が大きくなると、それだけでは成長のための栄養やエネルギーを補えなくなってしまいます。そこで固形物を食べる練習として、はじめるのが離乳食。個人差はありますが、1歳半ぐらいまでには離乳食が1日3回になり、徐々に大人の食事に近い幼児食へ移行していきます。

ここでママ・パパが気をつけた方がよいことがあります。それは、体力、知力ともにどんどん発達する幼児期には、多くのエネルギーが必要だということ。例えば、厚生労働省の資料(※)によると、日本人の成人女性(18〜49歳)の1日の推奨摂取カロリーは約2000㎉とされていますが、実は1~2歳児で900~950㎉、3~5歳になると1250~1300㎉と、1歳児でもママの食事の約半分のカロリーが必要になります。とはいえ幼児は胃も小さくて、1度にたくさんの量を食べるのは困難。そこで、不足しがちな栄養やエネルギーをおやつで補充しましょう――というのが今回のお話です。

そこで今回は、食生態学の研究者であり、長年、母子の健康向上に取り組んでいる管理栄養士の宇野薫さんに、幼児期のおやつについてお話を伺いました。宇野さんは、栄養学の観点からだけでなく、ママ・パパとのコミュニケーションや情操面での発達につながるおやつの与え方やその効用などについて教えてくださいました。

 

子どもにとってのおやつが意味すること

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おやつと聞いて、甘いお菓子を連想するママ・パパは多いのではないでしょうか。たしかに大人はちょっと休んで疲れを取りたい時、甘いおやつを食べることが多いもの。でも子どもにとってのおやつは、あくまでも食事で足りない栄養を補うための『補食』、つまり“栄養と水分を補給するもの”と考えて、と宇野さんはおっしゃいます。

「子どものおやつには、食事で不足しがちな食物繊維やビタミン、ミネラルを含んだ食品を与えるのが望ましいです。また子どもは汗をかきやすいので、活動することで失われた水分を補給することも大切。おやつの時には甘くない飲み物も忘れずに与えてください」(宇野さん)

おやつをはじめるタイミングは、一般的には、外遊びが増え、動きも活発になってくる1歳から1歳半ぐらいが目安です。

「1日3回幼児食を食べるようになったら、食事で栄養やエネルギーが充分に摂れているかどうか、まず体重や成長曲線から判断して、おやつをはじめるべきかどうかを判断してください。ただ実際には、子どもは家族がおやつを食べていると、それを見て欲しがるようになるんですよね。ですから、そういう時は『まだ早いからあげない』と頑なになる必要はないので、少しだけで結構なのであげてください。おやつは栄養を補給するだけでなく、親子のコミュニケーションの機会としても貴重な時間になりますから、一緒に楽しいおやつの時間をすごしていただくといいのではないでしょうか」(宇野さん)

確かに、おいしいものを家族と一緒に食べると、自然に笑顔がわいてきて、幸せな気持ちになりますね。おやつは生活のリズムを整える上でも、朝は10時、午後は3時というように、時間を決めて与えることも大切とのことです。

次におやつにしたい食品や与える時の工夫について伺っていきましょう。

“おやつはじめ”におススメのおやつはフルーツと乳製品

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食事を補うものとしてのおやつには、どんな食べ物が適しているのでしょう。まず小さな子どもにオススメのものについて宇野さんにお聞きしました。

乳製品果物から始めるのがいいと思います。ヨーグルトはたんぱく質やカルシウムを多く含んでいるし、果物はビタミンや食物繊維が豊富で水分も摂れるので、小さな子どもたちのおやつとしては、理想的な食べ物と言えます」(宇野さん)

下の図は、一般社団法人「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」が作成した「子どもにおススメのおやつ」のパンフレット。

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※クリックで大きく表示されます

ヨーグルトと果物の他にも、海苔、ゆで卵、野菜スティックなどが挙げてあります。

「1回の分量としては、りんごなら半分が目安。その他のフルーツの場合も、だいたいフルーツボウル1皿と考えておいてください。果物をひと口で食べられる大きさにカットしたり、トマトの皮をむいたりと、食べやすくなる工夫をしてあげると食が進みますよ。私はこれを『食のカスタマイズ』と呼んでいます。子どもの様子を見ながら少しずつ大人が食べる形に近づけていくのも、ママ・パパにとっては成長を感じる楽しさにつながるのではないでしょうか」(宇野さん)

この他にも、おやつに取り入れたい食べ物として、「ふかし芋」、「干し芋」、「おにぎり」、「寒天やゼリー類」、「甘栗」、「大豆(きな粉など)を使ったお菓子」、「グラノーラ」、「小魚」などがあると宇野さん。どれも食物繊維やビタミン、ミネラルなどが豊富で栄養補給に役立つ食品ばかりですね。

おやつをはじめるにあたって気をつけたいのは、やはりアレルギーのこと。離乳食の時と同じように、おやつで初めて口にする食品もアレルギーに気をつけたいものです。キウイやパパイヤなどの果物にアレルギー反応が出る場合もありますから、初めての食べ物は必ず行きつけの病院が開いている時間に与えるようにしましょう。

また、プチトマトやウズラの卵、小さなゼリーなどは、子どもにちょうど良さそうなサイズに思えますが、実は噛まずに飲み込んでしまうと、のどに詰まってしまう恐れがあります。こうした一口で食べられそうなサイズの食ベ物は、ちゃんと噛んで食べるようになってから与えた方が安心です。

また、宇野さんのもとにはママからこのような相談も届いているそう。

「よく聞くお話としては、“お店で売っているお菓子を与えても大丈夫でしょうか”とか、“お遊び会などでスナック菓子などが出されると、子どもが食べたがって困っている”というもの。そういう時は、こう答えるようにしています。『個人的には、できるだけ食品添加物などは入っていないおやつが好ましいのではないかと思いますが、家の外でもその“ルール”を運用するのは大変です。なので、持ち運びに便利な赤ちゃん用のせんべいやビスケットなどは外出用として使ってもいいし、よそのお家で出されるスナック菓子を我慢させることはないでしょう』。やっぱり年齢を重ねれば、外で市販のいろいろなお菓子を食べる機会は増えてくるので、そうであれば家の中では、可能な限り自然なものを与えたいと思いますね」(宇野さん)

理想で言えば手作りのお菓子が望ましい、と宇野さんは言います。忙しすぎて、手づくりは無理というママ・パパもいるでしょうが、ふかし芋なら一度に2~3食分をゆでて冷凍庫に保存しておけば、温めるだけで食べられるし、余ったご飯をラップで丸めてきな粉をまぶすだけでも、立派な手作りおやつになります。あまり難しく考えずに、手作りおやつにトライしてみてもいいかもしれませんね。

おやつの時間でコミュニケーション力も育ちます

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ご自身も働くママの宇野さんは、2人のお子さんとのふれあいを、おやつを通じて行っているそうです。

「平日は昼間のおやつを子どもたちと食べることはありませんが、うちでは晩御飯の後に必ず『8時のおやつタイム』というのがあるんです。子どもたちにもお皿やフォークやスプーンを並べてもらったりと一緒に準備して、フルーツなどを食べるんです。春になると、柑橘系の果物をいろいろ買って、昨日は八朔(はっさく)だったけど、今日は春峰(しゅんぽう)というふうに食べると、味だけじゃなくて、色や形の違いとか、どっちが好きとか、そんな話になりますよね」(宇野さん)

果物の皮をむいて、取り分けてあげるママの姿を子どもたちに見せるのも、立派な食育でしょう。

「果物は熟すと甘くなるとか、バナナの皮の色が変わっていくとか、そんな知識も自然と身につくんじゃないでしょうか」という宇野さんは、時には奮発して、おいしいイチゴやスイカを買って、「特別な日」を演出することもあると言います。

「春が来て、初夏になってというのを果物で感じることができるようになると、季節とか、旬などの感覚にも敏感になるのではないでしょうか。でも忙しくて果物を買えなかったら、ヨーグルトでもいいんです。おやつタイムの流れでいろいろな話をしながら、お片付けも手伝ってもらいます」(宇野さん)

宇野さんは、『8時のおやつタイム』を上手に使って、子どもさんたちとのコミュニケーションを豊かなものにするばかりでなく、家事やマナーについても教えているようです。

栄養と水分を補給する「補食」として、小さな子どもたちの成長に大切な役割を持つおやつ。壊れにくいお皿を用意すれば、2歳ぐらいからは配膳を手伝ってもらうこともできそうです。お手伝いができると、子どもは自分に自信がついて、もっと成長していくことでしょう。もちろん宇野さん流のコミュニケーション術も参考にしたいですね。

※〈参考文献〉「日本人の食事摂取基準(2015年度版)策定検討会」報告書(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html

 

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【プロフィール】

宇野 薫 
女子栄養大学 大学院
栄養学研究科 栄養学専攻 博士後期課程 食生態学研究室
ラブテリ トーキョー&ニューヨーク
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看護師の母、糖尿病の祖父の影響から食事の重要性を痛感、予防医学への貢献を信じ、管理栄養士を志す。女子栄養大学卒業後、病院、高齢者施設での経験をもとに、疾病予防、アンチエイジング、ビューティーなど、なりたい自分になるための栄養指導に従事。現在、「まるのうち保健室」、「おやこ保健室」の企画・運営を担当。日本では数少ない研究・論文執筆ができる管理栄養士を目指す。

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