ご自身も働くママの宇野さんは、2人のお子さんとのふれあいを、おやつを通じて行っているそうです。
「平日は昼間のおやつを子どもたちと食べることはありませんが、うちでは晩御飯の後に必ず『8時のおやつタイム』というのがあるんです。子どもたちにもお皿やフォークやスプーンを並べてもらったりと一緒に準備して、フルーツなどを食べるんです。春になると、柑橘系の果物をいろいろ買って、昨日は八朔(はっさく)だったけど、今日は春峰(しゅんぽう)というふうに食べると、味だけじゃなくて、色や形の違いとか、どっちが好きとか、そんな話になりますよね」(宇野さん)
果物の皮をむいて、取り分けてあげるママの姿を子どもたちに見せるのも、立派な食育でしょう。
「果物は熟すと甘くなるとか、バナナの皮の色が変わっていくとか、そんな知識も自然と身につくんじゃないでしょうか」という宇野さんは、時には奮発して、おいしいイチゴやスイカを買って、「特別な日」を演出することもあると言います。
「春が来て、初夏になってというのを果物で感じることができるようになると、季節とか、旬などの感覚にも敏感になるのではないでしょうか。でも忙しくて果物を買えなかったら、ヨーグルトでもいいんです。おやつタイムの流れでいろいろな話をしながら、お片付けも手伝ってもらいます」(宇野さん)
宇野さんは、『8時のおやつタイム』を上手に使って、子どもさんたちとのコミュニケーションを豊かなものにするばかりでなく、家事やマナーについても教えているようです。
栄養と水分を補給する「補食」として、小さな子どもたちの成長に大切な役割を持つおやつ。壊れにくいお皿を用意すれば、2歳ぐらいからは配膳を手伝ってもらうこともできそうです。お手伝いができると、子どもは自分に自信がついて、もっと成長していくことでしょう。もちろん宇野さん流のコミュニケーション術も参考にしたいですね。
※〈参考文献〉「日本人の食事摂取基準(2015年度版)策定検討会」報告書(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html
【プロフィール】
宇野 薫
女子栄養大学 大学院
栄養学研究科 栄養学専攻 博士後期課程 食生態学研究室
ラブテリ トーキョー&ニューヨーク
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看護師の母、糖尿病の祖父の影響から食事の重要性を痛感、予防医学への貢献を信じ、管理栄養士を志す。女子栄養大学卒業後、病院、高齢者施設での経験をもとに、疾病予防、アンチエイジング、ビューティーなど、なりたい自分になるための栄養指導に従事。現在、「まるのうち保健室」、「おやこ保健室」の企画・運営を担当。日本では数少ない研究・論文執筆ができる管理栄養士を目指す。