連載「高橋たかお先生のなんでも相談室」 
子どもが遊びから学ぶこと。

一人でなにかを学ぶより、子ども同士で遊ぶ時間の方がはるかに貴重です

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I:子どもにとって遊びは大切であることは間違いないとして、たとえば教育熱心な親御さんですと遊びの時間をちょっとだけ少なくして、勉強をがんばらせたりする方もいらっしゃると思います。遊びも大切だけど、将来のために勉強もさせたい。なかなか悩ましいところですが、先生はこのあたりどうお考えでしょうか?

高橋先生:勉強というのは基本的にはひとりでするものでしょう。あるいは大人と向かい合ってする。でも、幼児教育の原則は「子ども同士で遊ばせる」なんですよ。睡眠と食事以外の時間は遊んでいるのが幼児期です。特に社会性やコミュニケーション力、適応力、共感力を身に付けるためには、子ども同士で自由に遊ぶ時間にこそ大きな意義があると僕は思います。繰り返しますけれど、子どもが友だちと遊んでいる時に、親はそこでなにかを学ばせようと思わないことです。夢中で遊ぶことで子ども自身が無意識に身に付けていくものこそが人として生きる上で大切なことなのですから。

I:それでは一緒に遊ぶ友だちは同じぐらい年齢の子がいいのでしょうか。それとも年齢もタイプも違う子と遊ぶ方が面白かったりするものですか?

高橋先生:誰と、どう遊ぶかは子どもたちが決めるべきこと。良い、悪いの問題ではないと思います。それは幼稚園や保育園の日常を見ていると分かりますよね。放っておくと、だいたい同年代の子が一緒に遊ぶものです。しかも女の子は女の子同士、男の子は男の子同士でくっついている。時には女の子の“ごっこ遊び”に男の子がお客さんとしてお呼ばれして関わり合うこともあります。ごっこ遊びではいろんな役割分担がありますよね。赤ちゃん役の子がいたり、病人がいたりと。まさしく社会人ごっこですよ。

I:子どもも大人の社会と同じような集団を作って遊ぶわけですね。

高橋先生:そうです。自閉症とか注意欠陥多動症ではないかと心配になり、病院にお子さんを連れてこられる親御さんには「同年代の子どもと遊べますか?」と質問します。「はい」と即答ならひと安心です。一方、好んで下の年齢の子と遊びたがるお子さんもいますから、答えが「いいえ」でも慌てる必要はありません。もちろん診察の結果によっては医学的に問題がある場合もありますが、知能の発達が正常で、お子さん自身が日常生活を楽しんでいれば、あまり心配せずにお子さんがやりたがるように遊ばせてあげるといいと思いますよ。

I:お友だちと遊べば、協調性が必要になってくるし、共感する心も育ちそうです。もちろん我慢することも覚えるのでしょう。子どもは他者と深く関わり合うことで、自立心が芽生え、自信を持って行動できるようになる。子どもたちの遊びの世界は大人が考えるよりもずっと奥深いのかも知れませんね。

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