妊娠を望む女性や妊婦さん、授乳期のママにいたるまで重要な栄養素の代表格が「葉酸」です。
葉酸は海藻、レバー、豆類、緑黄色野菜などに含まれる水溶性ビタミンです。ビタミンB12と協力して血液を作る働きがあり、おなかの赤ちゃんのからだが形成されていくための細胞の増殖に必要な栄養素でもあります。
胎児の脳、神経管、心臓など重要な部分が形成される段階で妊婦さんのからだに充分な葉酸がないと、神経管閉鎖障害の発症リスクが高くなることが数多くの研究で証明されています。
慶應義塾大学名誉教授で産婦人科医の吉村泰典先生は「妊娠5、6週ぐらいでも神経管閉鎖異常が始まってしまうことがあると言われています。ですから、妊娠してからではなくて、妊活中から葉酸摂取を心がけるべき」と指摘しています。
また厚生労働省では、妊娠前(1か月)から妊娠初期(妊娠3か月まで)は、通常の食事からの推奨量(240 µg/日)に加え、サプリメントや葉酸が強化された食品などで1日当たり400 µg の葉酸を追加的に摂る(あわせて640 µg/日)ことが望まれるとしています(サプリメントを摂取したからといって、野菜などの食事性葉酸を含む食品を摂取しなくてもよいということではありません)。
一方、葉酸の摂取量には注意も必要。摂りすぎてしまうと、健康障害を引き起こす可能性もあるのです。食品安全委員会によると、葉酸の摂りすぎの目安は体重 1 kg 当たり 18 µg /日。これは体重 55 kg の人の場合、1日約1 mg(1,000 µg)に相当します。これを越えるほど葉酸を摂取するのは控えておきましょう。
ちなみに妊娠中期以降はサプリメントなどによる葉酸の摂取は必要ないとのこと。厚生労働省が推奨しているのは、通常の食事からの推奨量(240 µg)に加え、240 µg を食事から摂ること(あわせて480 µg/日)。緑黄色野菜や果物など食品からの葉酸摂取を心掛けるのがよさそうです。
下記の図は、葉酸が多く含まれている食品のリストになります。