妊娠を望む女性や妊婦さんの食生活はいろいろと注意すべきことがあり、世の中に関連する情報は溢れています。でも、なにが正しくて、なにが正しいとは言えないのか…の判断が難しいのも事実。
そこで本記事は、「科学的知見に基づき客観的かつ中立公正にリスク評価を行う機関」である内閣府食品安全委員会が公開している資料を中心に、“ママになる女性”が食生活において「気をつけたいこと」についてまとめました。
前編(妊活中から妊娠中まで注意が必要な食材について)はこちらから。
生ハムや加熱していないナチュラルチーズなどには気をつけましょう。
物の腸の中や河川の水など、あらゆる環境に広く存在している食中毒菌(リステリア)。
食品安全委員会の評価書によると、リステリア感染症の推定患者数は年間200人(平成23年)とされています。リステリアに感染して重症化することはまれですが、妊婦、高齢者の方は注意が必要です。
生ハムやスモークサーモン、肉や魚のパテなど、「加熱していない食品」や「食べるときに加熱を要しない調理済み食品」にはリステリアが含まれている可能性があるため、妊娠中は避けておいた方がいい食べ物です。
なおリステリアは他の一般的な食中毒菌と同様に加熱により死滅するものの、4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できる点が特徴です。
また加熱していないナチュラルチーズにも注意しましょう。
そもそもチーズには、ナチュラルチーズとプロセスチーズがあります(食品表示の種類別欄で確認できます)。
プロセスチーズはナチュラルチーズを粉砕し、加熱して溶かして殺菌してから成型しているため食中毒の心配はありません。一方、ナチュラルチーズの中には、加熱工程がなく、微生物が生きたまま残っている製品があります。
包装後に加熱殺菌した製品には「加熱済み」と表示されているので、そうした表示がないナチュラルチーズは、妊娠がわかったらなるべく避けておいた方がよいでしょう。
なお妊娠中にリステリアに感染すると、早産や流産の原因になったり、胎児に影響が出たりすることがあります。前述したとおり、リステリアは4℃以下の低温でも増殖可能で、冷蔵庫内でも増殖するので、普段は加熱しないで食べる食品も、妊娠中はできるだけ加熱して食べましょう。