男性育休が増えない理由は? 
パパやパートナーの育休についてお聞きしました

子育てしやすい社会になるために求めるもの

子育てしやすい社会になるために求めるもの

アンケートでは男性の育児休業について「どのような制度があれば取得しやすいか、または取得したいと思うか」についてもお聞きしました。実体験をもとに寄せられたさまざまな回答の中で、特に共通して挙げられた意見は次の3つです。

  1. 国による男性育休取得の義務化/企業の義務として強制力をもたせる
  2. 給料を100%補填する
  3. 取得期間を1か月〜半年と、長期で取れるようにする

まずは男性育休取得の義務化。アンケートの回答からは、産後すぐの体力的にもつらい時期にパパ(パートナー)の支えを求める切実な姿が見えてきます。

再び、ママからのコメントを一部ご紹介します。

“妻の産休と同等の強制力を持った男性育休制度。理想は出産予定日1週間前から産後10週くらい。父親がそばにいてくれるだけで産後の母体保護にもなると思う”

最低でも産後の床上げが終わる1か月は育休を取得してほしい。今の職場は女性でも産休だけで復帰される方がほとんどなので、男性の育休取得なんてとても無理。職場側から取得を促すような風潮を作ってほしいし、社会全体で意識改革をしてほしい”

“産後1か月は母体の体調も管理すべきだと思うので、1か月程の強制的な育児休暇取得制度があればよいと思う”

“パパの職場では育休を取得している男性もおられますが、部署による差が大きいのが現状です。パパの上司は「育児はママがするもの」という考えのため、男性が育休を希望しても取らせてくれないようです。上司や同僚の考え方の違いで取得のしやすさに差が出ないような制度があればいいなと思います”

記事冒頭にも書いたように、日本は世界でトップクラスの育休制度を持つ国。その制度がうまく運用されていないのであれば、国の政策としてももう一歩踏み込む必要があるというママたちの本音が聞こえてきます。

男性育休が増えない理由は? パパやパートナーの育休についてお聞きしました

続いて多かったのは、給料を100%補填するという意見です。子育てにはお金がかかるのに給料が安くなるのは困る、というのは当然です。

また、アンケートの回答の中で印象的だったのが、サポートする職場の同僚の負担を気にした意見です。決して職場に迷惑をかけたいわけではないけど育休は取得したい、というジレンマが見て取れます。

“「育休は必ず取る」という風潮にし、給料の減額の代わりに国から補助があればよい”

給料が全額支給される。同じ部署の方へ仕事の負担がかからない仕組みづくり。 半年ぐらい気にせずに取ることができればいいなと思います”

“育休を取得する人も職場でサポートする人にもプラスになるような制度があったらいい”

“個人事業だと育休を取ると無給になるので、個人事業主でも手当などが出る制度がほしい”

3つ目は取得期間に関する意見です。育休は取れたものの、職場での無理解や復帰後のキャリアへの影響を気にしながら期間を決めないといけない現実もあります。

“長期の育休だと会社にも迷惑をかけるし、周囲からいい顔をされなかったりする事があり、復帰後がやりづらくなりそう。育休という名前で数週間のお休みを何回か取れたり、有休とは別枠で急にお休みが取れたりするといいなと思います”

“育休でどれだけ休んだとしても、社内の昇格人事に影響しないという確約があれば取得する人が増えると思う”

育休制度はあるけれど、職場の人間関係やその後のキャリアを考えると十分に活用できないという事情が見え隠れします。

男性育休が増えない理由は? パパやパートナーの育休についてお聞きしました

その他にも、育休制度に関してママからはさまざまな声が寄せられています。

“うちの場合は社員数が少なく、休むとその穴埋めが難しいから簡単に育休を取ることができません。ある程度人数が増えて誰かが休んでも回せるような会社になってもらいたい”

昔ながらの考えの方が多く、会社で育休を取ったという前例がありません。もっと若い従業員が気兼ねなく育休を取りやすい職場環境になったらいいと思います”

“企業の理解の薄さ。年代が上の人は特に「育児は女性(ママ)がやるもの。男性は働く」という意識が強く、共働き時代に合っていない考えが根強い。都道府県で企業の向けに今の育児についての講座を開くなど、理解を深めて広めてもらうのがいいと思う”

“現在の育休制度は素敵だと思います。主人が自営業のため、ほかの方とは違い休みたい時は休める環境ですが、育休制度などありません…”

どれも切実な問題ですが、このリアルな声をひとつひとつ汲み取っていくことで、男女共に堂々と育休を取れて、子どもを育てながら職場復帰できる、安心して子育てができる社会になるのではないでしょうか。

最後に当事者であるパパにも、理想的な育休制度についてのご意見をお聞きしたところ、以下のようなご意見が寄せられました。

“給料やボーナスが全額出れば1年取れるようになるし、会社にも国から育休取得者がいる所は何かしらの支援があれば理想だと思う”

“育児休業取得直近3年くらいの年間手取り額で一番多い年と同額の手当てが支給されるとともに、強制的に育休を取得しなければいけない制度が良いと思います”

産後1年間、いつでも、何回でも取得できるのは一番理想的です。それを実現するため、その間仕事が増えた同僚たちに対するサポートに注力してほしいです”

たしかに「いつでも何回でも育休が取れるのが理想的」というのは頷けます。一方で、サポートする側の負担だけが増えたのでは本末転倒です。子どもがいるいないに関わらず、働く人が働きやすい環境にするにはどうしたらいいのか。また、一歩進んで、育休制度の活用が促進することで、結果的に職場にもよい影響をもたらすような好循環が生まれるにはどうしたらいいのか――このあたりの議論がより進んでいくことを願っています。


男性も育児休暇を取得し、夫婦で子育てがしやすい社会であることは、少子高齢化が加速するこれからの時代にとって非常に重要な課題です。すべての大人がかつては子どもだったのですから、今を生きる大人たちは、子どもたちの成長を温かい目で見守り、手を差し伸べる優しいまなざしを持つ存在であってほしいと願います。そのためにも、子どもや子育てへの理解を深め、余裕を持ったサポートができるよう、国や企業、地域の協力が欠かせないのだと感じました。誰もが安心して、かけがえのない子育ての時間と向き合える世の中になっていくといいですね。

※1 令和4年度(2022年度)雇用均等基本調査

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