――お子さんが生まれて、子育ての時間を作るためにやめたことや、諦めたことはありますか。また、子育てを通じて新しい世界はできましたか。
岡:子どもが生まれる前は、何かしら資格の勉強をしていましたが、最近土日は、子どもとすごすのでその時間がなくなりました。でも子育てをがんばる妻を見ていると、私もできることをして支えなくてはと思います。
入江:本を読んだり映画を見たりする一人の時間がなくなりましたね。会社の飲み会にも行かなくなりました。職場に娘と同じ年頃の子どもがいる人が多いので、こんなテレビ番組を喜ぶとか、情報交換をすることはあります。
また、妻が週末は時間がないので、保育園の懇談会には私が行っています。朝、子どもを連れてくるのは4割ぐらいがパパなのに、懇談会にパパはほとんど来ませんね。ママたちは仲良く話をしていても、パパたちは私も含めて、なぜか打ち解けづらい。ちょっと寂しい気もします。
小杉:私も友だちと出かけなくなりました。仕事を終えて、夜遅く録画しておいたNBAの試合をBSで見ようとテレビの前に座っても、試合がはじまる前に寝ちゃうほど毎日くたくたで。まだ小さいので公園にも連れていけないし、パパ友と知り合う機会もありません。幼稚園に行くようになったら、私が送り迎えをするつもりなので、ママたちの中に突入することになるのかな、とは思っていますけれど(笑)
――最後に、ご自身の経験を踏まえてこれから職場復帰するママと、そんなママを支えるパパにメッセージをお願いします。
小杉:子育てを経験してはじめてわかったのは「仕事のほうが子育てより大変」というのは間違いだということ。その認識をパパとママで共有することが大事だと思います。わが子の成長が励みにはなりますけど、世話は実際しんどい。娘が生まれてこの10か月間でたった1日だけですが、晩御飯までにその日の仕事と子どもの世話が全部終わった日がありました。そのときは本当に晴れ晴れとした気分で。私たちは二人で仕事と育児をしていても、実際には妻が娘を見ていることが多いので、私の手があいたときは交代しようと心がけています。
岡:お互いに感謝やねぎらいの気持ちを言葉にしてあげると、それだけで喜んでもらえると思います。子育ては次々にやることがあって、想像以上に大変。私は香川の会社を辞めるとき、有給消化で1か月ぐらい家にいたときに、それを心底味わいました。正直なところ、会社に行けるのが幸せな気がしたほどです。だから妻はよくがんばってくれていると感謝しています。もうすぐ二人目が生まれますが、今まで以上に育児も家事もシェアしたいと思っています。
入江:私も週末は娘とずっと一緒にいて、とてもかわいいけれど、世話は大変だなと思ってしまいます。仕事をして、育児をして家事もこなすママたちは本当に偉いです。どんなことでも“やって当たり前”ということはないので、「ありがとう」と声をかけるのは大事ですよね。
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座談会に一緒に来てくださった入江さんの奥さまに、ご主人のことをうかがってみたところ、「毎朝保育園に送ってくれるし、急に迎えを代わってと連絡しても何とか都合をつけてくれます。家事にも協力的で本当に助かっています」とのこと。娘さんが「パパ!」とうれしそうに駆け寄る姿が、何ともほほえましいご家族でした。
仕事に子育て、家事とがんばるママを気遣い、サポートを惜しまないパパたち。今回の座談会では、3組のご夫婦がそれぞれ臨機応変に家事や子育てを分担している様子がわかりました。自然体で子育てに関わるパパたちは確実に増えています。日本の子育て家庭の風景も、徐々に変化してきているようです。